概説日本経済史 三和良一 の試験対策ノートです。
幕末の経済と開港
日本経済史 の勉強にどうぞ
幕末の経済と開港
鎖国下の経済構造の変化
商品経済の発達
・江戸後期には商品経済が発達しつつあった。
・商品経済の発達とともに農民の中でも貧富の差が生まれる。
・主な商品は綿花、採種、藍、煙草、茶、養蚕、綿糸、生糸、織物、紙、蝋など
地主経営
・没落農民の土地は上層農民や商人、高利貸のもとに集まる
・土地の利用法は2つ。①自分んで農業経営、労働力を雇う ②他人に土地を貸す小作経営。
・主流となるのは② ← 雇用労働力の賃金は上がっても農作物は価格が変動しにくい
・貸付地主は新田開発でも発生した
・例えば町人請負新田では開発費を投入した町人が地主となり、開発に従事した農民が小作人になる
問屋制家内工業とマニュファクチュア
・問屋制家内工業とマニュファクチュアが誕生
・問屋制家内工業の方が有力
領主・共同体
・共同体も当初は助け合いだったが、商品経済の浸透で競争原則が強くなる
世界資本主義との接触
・日本は各国と不平等条約を結ぶ。領事裁判権・協定関税制
・この不平等条約が「営業の自由」を強制することで、副次的に封建制を維持できなくなったという一面がある
例)五品江戸廻送令の失敗
通貨体系の調整
・江戸時代:金銀銭の三貨制度が国内商品流通に使われていた
・日本では金:銀が1:5で取引されていた
・世界では金:銀が1:15程度だった
・そのため①通貨価値の変動が激しかった、②日本から大量の小判が流出した(日本で銀を金に変えて輸出すればそれだけで儲かる)
・これに対応するために、悪質な銀貨を作ったところインフレを引き起こした
居留地貿易
・幕末の貿易は居留地内でのみ許可されていた
・輸出品では割合の多きいものから、生糸、茶、蚕種など。銅、原綿、水産物も続く
・輸入品では綿織物と毛織物が大きい。船・金属・小銃なども輸入されていた
開港の経済的影響
絹業 生糸輸出の影響
絹織物業者は潰れるけど原料は大きく発展
・養蚕、製糸、織布の3工程からなるがそれぞれの特産地が地域的分業関係を結ぶ形で成長してきた
・織布:原料糸不足・価格高騰の打撃。西陣や桐生など代表的な絹織物業地方では休業が続出。博多・丹後・八王子・秩父・郡内なども同様
・養蚕・製糸業:発展。長野・山梨・群馬では製糸マニュファクチュアが出現
※ただし、江戸幕府の下では流通規制もあり頭打ちを迎える
綿業への影響
・木綿の生産は、綿作(綿花)、手紡(綿糸生成)、織布(綿織物)の3工程
・綿織物生産地に打撃を与え没落する地域も生まれるが、大阪・愛知など先進機業地では原糸を輸入品に転換することで、再編成された。
・しかし、それによって手紡部門は大きな打撃を受けた。
・一方綿花はアメリカ南北戦争期に輸出品となったことで打撃は軽かった
原始的蓄積の進行
・綿糸の輸入や毛織物の輸入で農民たちの商品生産である綿業へ打撃が大きかった
・そのため、没落農民が増加
・同様に以下類似の打撃を与えた
砂糖の輸入→甘蔗・製糖業へ
石油→菜種、絞油業へ
・農民は2つの階層への分かれていいた。すなわち、賃金と賃金労働者の蓄積
半植民地化の危機
・綿製品輸入・生糸輸出が続けばモノカルチャー型経済として世界に組み込まれる可能性