現代の経済政策 田代洋一・萩原伸次郎・金澤史男
試験対策ノート
金融政策
金融政策
第一部 現代資本主義と金融政策
1.金融政策の定義
・中央銀行の役割
・発券銀行
・銀行の銀行
・政府の銀行
2.金融政策の目標と手段
・最終目標 … 物価の安定、経済成長の維持、国際収支の均衡など
ただし時代によって変わる
・高度経済成長期:国際収支の均衡と経済成長維持
・1970年代:物価の安定(石油危機の経験)
・1980年代:経常収支や為替相場への配慮
・1990年代~:デフレ脱却
・公定歩合操作:各銀行の貸し出し金利の調整
・公開市場操作:買いオペ・売りオペ
・預金準備率操作:そのまま
・また最後の貸し手としての役割がある。
→特定の金融機関がの破綻が金融システム全体に悪影響を及ぼすと判断される場合に特別に融資すること。
・直接的に政策を実施するのは難しいので、操作目標を設定することで相殺している。
・短期市場金利や中央銀行当座預金がある。
・日本では短期市場金利としてコールレートが使われる。
・コールレート:無担保・翌日物
3.金融政策と決済機能・信用創造機能
・銀行は中央銀行に「日銀預金」口座を有している
・資金不足の際にはそれを取り崩す
・信用創造:省略
第二部 日本の金融政策の展開
1.高度成長期の金融政策
■高度経済成長期:国際収支の均衡と経済成長維持
→公定歩合操作によって、金利を低位に維持することが最も重視された
・高度成長期の投資を金融面で支えたのは、民間銀行による貸し出し
・当時の法人企業の資金調達は8割が民間借入金。社債・株式はいまいち←貯蓄水準の低さや法規制による。
※オーバー・ボローイング:法人企業の借入金依存度が高いこと
※オーバー・ローン:民間銀行も恒常的に現金準備が不足して、中央銀行の借入に依存している状態
2.低成長期への移行と金融政策の変化
■1970年代:物価の安定(石油危機の経験)
→マネーサプライの重視、公開市場操作が重視される
※高度成長期より華々しい成果が出たように見えない。通貨指標をM2+CDにする、国債流通市場の育成など今後に繋がる準備の方が大きかったのではないか
・国際環境の変化:ニクソンショック、石油危機
・国内環境変化:1975年から赤字国債大量発行
3.バブルの発生・崩壊と金融政策
■1980年代:経常収支や為替相場への配慮
→公定歩合を下げる、公開市場操作でマネーサプライを増やす → 国際金融市場の安定化に努めた
→バブルへとつながる
※ただし物価は極めて安定していた。そのため地価や株価の高騰につながった
第三部 デフレ下の金融政策運営
1.ゼロ金利政策から量的緩和政策へ
・公定歩合引き上げによりバブル崩壊
・公定歩合が0.5%という低金利、2001年には0.1%へ引き下げられる
・量的緩和政策:日銀の操作目標を従来のコールレートから日銀当座預金に変更。この残高を5兆円程度に維持する
・日銀による民間銀行保有の株式購入
※これらは金融政策ではなく金融政策を正常に作用させるための準備と言える
2.政府債務残高の累積と大規模な為替市場介入
・財政政策と為替政策が重要になる
・デフレ脱却のため大量の赤字国債を発行 → 政府債務の増加
・量的緩和政策では買いオペによって市場への資金投入を実施
→国債流通価格は低位に維持される
→民間金融機関にとっても貸し出しの減少を国債でカバーした
・円高に対して円売りドル買いによって対応。
3.量的緩和政策・ゼロ金利政策の解除
・2006年 量的緩和政策の解除
・「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」
①「物価の安定」の中身の明確化:物価の考え方を整理
②2つの柱に基づく経済・物価情勢の点検:最も蓋然性が高いシナリオと中長期的に見たリスク要因の2つから点検する
③以上を踏まえて、「経済・物価情勢の展望」において定期的に公表する
第四部 世界金融危機と金融政策の課題
1.世界金融危機下の日銀の政策運営
・サブプライム・ローン危機に対する日銀の対応
①主要中央銀行との協調:
FRB、ECB、スイス、イギリス、カナダ、日本の各中銀との間で通貨スワップ協定を取り決め、各国市場でドル資金の供給を実施した。日本が国内でドル供給することは初めて
②金融政策面での措置:
・金利引き下げ … ゼロ金利の再開
・金融市場の安定化 … 公開市場操作の手段を拡充。補完当座預金制度を導入
・企業金融の円滑化
③金融システムの安定化政策:
・金融機関保有株式の買い入れ
・金融機関向け劣後特約付き貸付け(利回りは高いが優先度は低くていいよ)→日銀が民間金融に資本制資金の貸付は初めて
2.金融政策の変貌と新しい課題
今後のグローバル金融における課題
①金融政策の在り方。各国は公開市場操作の対象を長期国債のみならず、企業債権なども加えるようになった。長期国債や社債の買取は禁じ手である。その一方で財政政策は赤字債務などにより実施しにくい。そのため通貨安を目指す方向になっていることが課題。
②金融システム安定化策の在り方。自己資本比率操作だけでなく、金融機関や金融商品、金融市場までも視野に入れたマクロ的な規制が必要。
③日本の金融システムの方向性。未来志向的なシステムをいかに構築するのか。