概説日本経済史 三和良一 の試験対策ノートです。
1920年代の日本経済史
日本経済史 の勉強にどうぞ
1920年代の日本経済史
世界経済の新しい局面
第一次世界大戦の影響 世界の様子 基軸国アメリカの誕生
・第一次世界大戦の影響
①20世紀資本主義への変容(第一章 3.4第二の変質期 を参照)
②世界経済の基軸国がイギリスからアメリカに移行
・大戦前はイギリスが農産物を輸入し工業製品を輸出していた(国際分業)
・大戦後はアメリカが中心となる←ドイツ復興の資金援助(ドル)が賠償支払いでイギリス・フランスに流れる
日本の様子 日本経済の国際的比較
・1920年代ごろ 日本は第一次産業就業者の比率が高い
・日本は農業国に色彩を残しながら列強国の仲間入りをしたといえる
・構成比別には、製造工業の構成比率が低く、食糧品や繊維の比率が高い
→日本は重工業の弱い帝国主義であったといえる
日本経済の新しい局面
国内市場の拡大
・1911~1913の成長率と比べて、1918~1920年は実質1.4倍以上
・第一次世界大戦期には輸出増大によるところが大きく、27%が輸出のおかげ
・1920年代前半は個人消費支出の増加寄与率が大きい。以下の要因
・1910年に比べて製造業労働者の賃金が1.7倍にまで成長していく
・農業物価格が工業製品価格に対してかなり有利に変動したこと(農業の方が上昇率が高い)
・1920年代以降、庶民レベルで西欧文明の消費慣習が浸透した
・一人当たりの栄養摂取量が減少→伝統的な麦・芋・雑穀食から離脱→大衆消費社会化の萌芽
重化学工業化
・1920年 32.8%に上昇 第一次世界大戦と戦後ブーム
・1925年 23.7%に下落 ワシントン海軍軍縮条約(1922年)の影響
・1930年 32.8%に回復
・1920年代後半は電力利用の普及や都市化・近郊電鉄業などにより電力業関連需要を中心に再び重化学工業化が進行
・電力を大量消費する産業(肥料・ソーダ・電気精錬など)も、発達した
・近郊電鉄業も発達
・都市化を促進することとなった
・鉄道の発達が電力・鉄道車両など関連産業の需要を拡大させた
・自動車
・軍需が支える形で生産が開始された
・輸入車には太刀打ちできず、輸入車あるいはノックダウン車(国内組み立て)が主流
・航空機
・陸海軍の要請で三菱と中島が試作、川崎、川西、日立などが続く
・零式など世界水準の製品生産と続いた
国際収支の危機
・1910年代に顕在化した輸入超過からさらに1920年代は深刻化した
・大きな要因は国内消費の増加
・関東大震災もまたその一因
低い利潤率
・1920年代以降企業利潤率が一貫して低下
・資本蓄積の危機・再生産の危機を表していた
労使関係の変化
・第一次世界大戦期に物価下落したものが、下方硬直し賃金水準の上昇が起きた
・社会主義思想の影響を受けて労働運動も盛んになる
地主制の交代
・1920年代をピークに小作地は減少する、自作農増加
→地主:小作のことを考えると小作料利回りが預金利率や有価証券利回りと比べおいしくなくなった
→小作:技術進歩で農家の副業では工業に勝てなくなった、労働市場が拡大した
経済政策の新しい展開
積極財政と救済融資
・財政規模:戦前 9億円、1920年 28.8億円、1929年 37.4億円、
・1920年代は軍縮もあり軍事費以外が上がる
・経済関連費(土木、交通、産業など)、教育関係費、植民地関係費が高まった
・原敬内閣・高橋是清内閣は積極財政で景気調整対策の役割を果たした