日本経済史 経済学

概説日本経済史試験対策ノート14 経済復興

投稿日:2019年5月14日 更新日:

概説日本経済史 三和良一 の試験対策ノートです。

経済復興

日本経済史 の勉強にどうぞ

 

 

経済復興



 

インフレーションと生産再開

敗戦時の日本経済

・敗戦直後は、戦時期に軽工業を軽視して軍需産業に特化した結果、産業バランスが悪かった

・重化学工業も十分に保全されていたとは言えず、技術的に陳腐化していた

 

・エネルギー産業では実際の発電量以上の設備があったが、民間の電力消費量縮小・石炭供給が不足していたことが要因

 

・石炭業は、中国人・朝鮮人を強制的に非人道的環境で酷使したことで維持していた

→したがって、敗戦後は一気に石炭不足が大きな問題となった

 

・農業でも人手不足により作付面積が不足していた

・さらに引き揚げによる人口増加で食糧難は深刻化した

 

インフレーション対策

 

・悪性インフレが猛烈に進行した

・戦時中は質素倹約に努め、また戦時統制も強固だったためインフレは顕在化しなかった

・しかし、敗戦後は以下の要因でインフレが進行した

①臨時軍事費の大量放出

②日銀借り入れを主要財源とした銀行貸し出しの急増

③預貯金引出による換物運動激化

④占領軍進駐に伴う緊急調達の終戦処理費

 

・インフレ対策

①新紙幣の発行(1946)、預金額を月額払い戻し

②物価統制令(1946):公定価格体系を制定、物価庁を設置した

 

・しかし本質的には供給量不足にあるため解決はしなかった

 

戦時補償打ち切りと企業再建整備

 

・戦時補償の支払いは財政の大きな負担となっていた

・GHQは「日本政府は、戦争は経済的には利益がないものであることをすべての日本国民に分からせなければならない」として戦時補償支払いの凍結と戦時利得税・財産税の新設を指令 → 支払うが100%戦時補償特別税で事実上ゼロとなった

 

・戦時補償の事実上の打ち切りは企業財務を悪化させることが明白だった

・会社経理応急措置法(1946)、企業再建整備法(1946)、企業再建整備法・金融機関再建整備法(1946)により救済した
 



 

 

傾斜生産と復興金融金庫

・生産回復のカギは石炭増産に求められた

・「石炭小委員会」の発足

・輸入重油を鉄鋼生産に投入し、増産される鋼材を炭鉱に集中投入し、さらに増産石炭を鉄鋼業に集中投入するということを繰り返した

・1947年下期には出炭は回復し、傾斜生産は生産再開の大きな機動力となった

 

・復興記入金庫設立(1947):傾斜生産方式を資金面からバックアップ

・電力・石炭・海運を中心に重点的に資金投入

・政府の財政を資金源とするはずだったが、財政難から難しく復興金融公債に発行により乗り切った → そのため生産回復を促進しながらもインフレを加速させた(復金インフレ)

 

中間安定か一挙安定か

 

・片山内閣は、基礎物資価格を設定し、それを超える場合は生産者への補給金を支給した

・賃金統制は高まる労働運動の中でGHQも実施できなかった

 

・1947年 工業生産の回復は始まっていたが物価は依然として上昇した

・デノミネーションで通貨切り下げ、一挙安定を目指すべきか

・中間安定(インフレを緩慢化させコントロールド・インフレーションの状態)に実現すべきか議論がなされる

・GHQは中間安定を支持した

 

ドッジ・ラインと特需ブーム

 

占領政策の転換

 

・冷戦の影響で「非軍事化」から「経済復興」に方向転換する

・トルーマン・ドクトリン、マーシャル・プランでアメリカは反響体制を取る

 

・GHQは賠償問題が解決していないことが生産回復を妨げているとして、本国に賠償緩和を勧告した(第一次ストライク報告 1947)

・さらに「カウフマン報告」によりGHQは方向転換を迫られる

・当初の非軍事化目的と日本経済の自立化という目的が相反するものだった

・1948 「アメリカの対日政策に関する勧告」で方向転換を確定させた
 



 

 

経済安定9原則

・対日援助の強化が必要だった

・ガリオア資金とは別に、日本朝鮮復興計画を盛り込むことを提案

 

・ヤング勧告

・単一為替レートを設定すること、経済安定政策をとること(インフレ対策)

・これは一挙安定に該当する

 

・戦後貿易はGHQを通じて各国と行っていた

・戦後貿易は複数為替レートを使用していた。これは事実上の輸出補助金・輸入補助金に該当する。

例)陶磁器1ドル600円、国内綿花80円など

 

・経済安定9原則

第一項:経済安定計画の実行を指示
第二項:具体的な政策
第三項:3カ月以内に単一為替レートを設定目標

 

ドッジ・ライン

 

ドッジライン:

①国内総需要を抑制して過剰購買力を削減、②単一レートの設定・補助金廃止によって市場メカニズムを回復、③政府貯蓄と対日援助で民間投資資金を供給

 

①国内総需要の抑制

・緊縮財政によってインフレの抑制

・歳入:徴税強化・旅客運賃・郵便料金値上げなど

・歳出:公共事業・失業対策費支出、鉄有働・通信事業費の縮小

→インフレは抑制され実物面の政府支出削減

 

②市場メカニズム回復

・為替レートを1ドル360円に設定

 

③民間への資金供給

・歳入超過を公債償還に回すこと

 

⇒これらの政策でインフレは抑制されたが、デフレ・不況へと突入する

 

特需ブーム

 

・朝鮮戦争によって「特需」が発生

 

・特需がドルで支払われた効果が大きかった

・大量の外貨の獲得

 

・ソ連の原爆成功とともに、軍拡ムードの中で世界的に軍需が拡大し、日本の経済は公共を迎える

・繊維品・金属・機械の輸出が急速に加速した

 

・1951年には鉱工業生産が戦前水準を超え、実質国民総支出・個人消費支出ともに戦前水準を上回った

 

・アメリカは「非軍事化」→「経済復興」→「軽度な軍事化」へとさらに方向転換した

 

サンフランシスコ講和条約の締結

・日本の独立回復

・日本の再軍備に対して警戒が強く、何かしらの制約が議論されたが、結果的に日本経済を制限する条項はなかったといえる

 

戦後の経済構造

 

世界経済の構造変化

 

・ブロック経済からIMFなどの協調体制に変化

・ブレトンウッズ会議により国際金本位制を取る。以下が骨子。

①かつての金の代わりに、金と兌換可能なドルをの金為替を基軸通貨とする

②各国通貨と基軸通貨との間に固定した為替相場を設定し変動幅を抑える

 

・GATTも成立
 



 

 

日本経済の構造変化

・日本の重化学工業化を決定的に推し進めた

・植民地の喪失→原材料・燃料確保が困難になった

・アジア諸国の綿製品自給能力が高まり、生糸の代替品の合成繊維が普及→繊維輸出が困難に

 

計画造船・電力再編成

 

・1947年 計画造船の開始:海運企業に長期低金利の財政資金供給

・海運業再建と造船業復興に大きな貢献

 

・1948年 集排法で日本発送電および9配電会社が解体

・1951年 地域別9電力会社発足

 

産業政策の展開

 

いくつかの産業政策が現れた

 

1.国家資金により日本開発銀行が設立:財政投融資・対民間供給の主要ルートとして確立

2.企業合理化促進法:税制上の優遇措置が導入

3.独占禁止法の制定

⇒20世紀資本主義を特徴づける産業政策の原型となった

 

 

 

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