西洋経済史 奥西孝至 の試験対策ノートです。
古代から中世へ
西洋経済史 の勉強にどうぞ
目次
西洋経済史
西洋経済史 の試験対策ノートです。
以下の教材をまとめています。
試験直前などには使えるかと。
古代から中世へ ヨーロッパ市場社会の形成
対象期間
476~1381年
ヨーロッパの特徴
・地理:ヨーロッパは以下の線を区切ることで気候が変わる
北極海から地中海
アルプス山脈とそれに繋がるピレネー山脈
・南は地中海性気候
・北は海洋性気候、内陸性気候、山岳性気候
・民族:ラテン系、ゲルマン系、スラブ系、その他
・宗教:カトリック、プロテスタント、ギリシア正教など主にキリスト教徒
古代から中世へ
・古代:ローマ帝国が東西に分裂し、476年西ローマ帝国が滅ぶまでを指す
・フランク王国のメロヴィング朝は王と家臣の人的紐帯が統治の核
・ローマ帝国旧領ではカトリック教会(修道院)が統治の核となった
・751年 カロリング朝のピピンがフランク王国を統治
・800年 カール戴冠、恐慌レオ3世より
→キリスト教の守護者としての皇帝権が確立
→のちの対立を生み出す遠因
カールの統治
・中央集権型
・実態は地域の自立性が強かった
・分割相続のフランク王国は9世紀前半には三国に分裂した
・それぞれドイツ、フランス、イタリアの原型となる
・この時期に民族移動が活発なり、原型を作る
・マジャール人:ドナウ平原
・スラブ人:ヨーロッパ東部
・ノルマン人:西部
封建制と領主制
・封建制と領主制は分けて考えるのが一般的
・封建制:王と家臣の土地を媒介にした分権の国家体制。契約。
・領主制:土地の経営の在り方、つまり領主農民関係
封建制
・封建制:主君に忠誠を誓う代わりに封を受ける
・従士制(人的紐帯による統治)と恩貸地制とは連続性がないというものが現在の主な理解
・カロリング朝になり人的紐帯が弱まったことも封建制誕生の要因のひとつ
・封の中心は封土
・封建制の広がりは様々。封建制が広がらない地域もあれば、複数主君から封を受けるなど複雑化する地域も出る
領主制
・封土を持つ貴族と農民の関係
・修道院や王領地も封建制下の重要な財政基盤
・当初は個別経営で奴隷が少なかったが、7世紀以降大領主が急増する→古典荘園
・独立した農民が公租や軍役を避け領主の保護下に入ったことが大領主誕生に繋がったと考えられている
・領主直営地と農民保有地からなる
・領主直営地:農奴による耕作
・農民保有地:家など生活の基盤
・中小規模の所領が星雲状に点在しこれらは中世初期の流通に影響する(後述)
ヨーロッパ型農業
・地中海性気候:暑い夏と冬の好天・少雨
・海洋性気候:春から初夏の好天・夏から秋の降雨・冬の降雪
・内陸性気候:冬夏の寒暖差が激しい
・天水型農業が主流
・灌漑農業と違い肥沃化が難しい
→二圃制や三圃制が中心
・ライ麦・大麦・小麦・オート麦など多様な麦で耕作可能比率が高い
・牧畜との並存・相互関係も深かった
・ヨーロッパは土地生産性が低く投下労働量を増やしても生産が増えない
・有床有輪犂などの器具・家畜による労働生産性の向上が図られた
・三圃制は生産性向上に貢献した
・三圃制は保有地を閉鎖せず開放するので、領主直営地と農民保有地の区別があいまい化
・また、春先から夏の時期に十分な降雨と長い日照時間が必要
・これらから以下の農業方式が大きく分類できる
①フランス北部からドイツにかけけての三圃制・開放耕地・集村
②フランス南部から地中海にかけての二圃制・閉鎖耕地・集村
③アルプス山麗部などの移牧・小規模耕地・離村
④スペインからイタリア中南部の果樹栽培や領主館住み込み
・9~12世紀 大開墾時代
・特に、ドイツ・エルベ川以東の東方植民が進む
・農地改良・悔恨によりヨーロッパ全体の人口増加を招いた
・10世紀末3000~4000万人 → 14世紀初頭 7000~8000万人
・しかし地域差あり
・フランスや低地では大きく増加
・イタリア中南部・エルベ川以東ではあまり増えなかった
中世初期の商業と市場・都市の形成
所領経営
・中世初期には物々交換が行われていた
・修道院や領主は購買力があるため初期の重要な顧客だった
・領主は、通行の安全保障・不正取引の取り締まり・流通税や取引税の徴収 などを実施
市場の形式
・領主や修道院が大きな役割
・秋には修道院などの近接地で市場が開催された
・農作物がりょうしゅや農民により売却され、商人が買う
都市の形成
・領主が重要性を持つ
①古代ローマ帝国期の都市を期限とする(司教座都市など)
②教会・領主の居城近接地にある商工業者の居住地
③建設都市などの封建領主の主導における居住地
④取引拠点・越冬地などの商人定住地
・都市の経済活動は次第にギルドを基本とした
・商人ギルドや手工業ギルドが誕生した
・都市人口は数千人程度でイスラームや中国圏(数十万程度)に比べ規模は小さかった
中世ヨーロッパ都市の自由と自治
・領主から自由を獲得する農村が生まれる
・コミューン運動:都市の自治権獲得運動
商工業の発達
遠隔地商業の発達
・10世紀末 広域流通網が形成される
・イスラーム圏:香辛料・絹製品・綿製品などの「東方産品」
・西フランスの海塩、ドイルの岩塩、スカンジナビア半島の木材、北海・バルト海のにしん、シャンパーニュ・ボルドーなどのワイン、スウェーデンの金属鉱石、南フランスの大青、フランドル地方の毛織物など
・最重要商業ルートは北イタリアとフランドル地方を結ぶ南北連結ルート
・北イタリア:イスラームとヨーロッパの接合地、かつ毛織物・絹織物などの手工業地帯
・フランドル地方:アルプス以北最大の商工業地域
・加えて東西ヨーロッパをつなぐバルト海・北海ルートも重要な商業ルート
・ドイツ商人が活躍、ハンザ(同業団体)を結成
・やがて都市として発展し、ハンザ同盟を結成(リューベック主導)
・イギリスのロンドン・ノルウェーのベルゲン・ロシアのノブゴロド・フランドル地方のブリュージュに商館を置く
・航海術の向上によりイタリアと大西洋まで航路が伸びた
決済制度の発達
・徴税手段としてのドゥエニ銀貨
・広域流通のイスラーム金貨・ビザンツ金貨
・13世紀 イタリアで金貨鋳造が開始
・1252年 フィレンツェのフィオリーノ通貨
・1284年 ヴェネツィアのドゥカ通貨の鋳造
・各地でグロ通貨も鋳造された(ドゥエニ通貨の12~14倍)
・イタリア商人による手形も始まる
・テンプル騎士団の旅行手形を巡礼者に発行
・複式簿記の開始
手工業の変化
・綿織物が中世の最重要手工業のため各地に点在
・高級毛織物や絹織物はフランドル地方と北イタリアに限定された
中世末期の危機と繁栄 14・15世紀
・14・15世紀はヨーロッパの危機と繁栄の時代
・天候不順による飢饉・食糧価格の高騰
・ペストの流行
・これによる民衆反乱の勃発
・1358年 ジャックリーの乱(パリ)
・1378年 チョンビの乱(フィレンツェ)
・1381年 ワット・タイラーの乱(ロンドン)
・反乱はすぐに鎮圧したが、領主による統治の改善にはつながる結果となった
・人口減により農産物価格は下落・労働コストは増大した
・一方で、農牧業の発生などの新しい動き。
・手工業では高級品へのシフトなど農産物のように下落はしなかった
・多様な食料品や高級品なども拡大した
・ルネサンス芸術も花開いた
議論のための課題
自己流の答えのため、間違っていても自己責任で
中世ヨーロッパの農業の特徴を整理してまとめなさい
答え:
地理的条件から攻める
・地中海性気候(暑くて雨少ない)・内陸性気候(寒暖差激しい)・海洋性気候(雨が多くて豊か)・山岳性気候(放牧)
農法から攻める
・二圃制→地中海性気候では継続
・三圃制→海洋性気候にマッチ
・二圃制・三圃制は開放的な土地の作り
・山麗部では離村・個別的な農地
・労働生産性は低いので有床有輪犂などの技術が生まれた
契約体系から攻める
・領主制や封建制
中世ヨーロッパの商業の発達を市場経済の発達との関連を考慮しつつまとめなさい
難しい質問だな
・領主や修道院主導で進んだ
・取引税など領主による商業政策
エリアとしては
・南北連結ルート(北イタリアーフランドル地方)
・北海エリア(ハンザ同盟)
・イスラーム圏を通じた東方産品
決済制度
・貨幣(ドゥエニ銀貨やイスラーム金貨)
・手形(旅行手形、複式簿記など)
手工業はギルドなど