経済学 財務会計

財務会計講義4 利益測定と資産評価の基礎概念

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日本一読まれている財務会計テキスト で有名な

桜井久勝さんの財務会計講義をまとめていきます。

 

スマホで見れるノートとしてご利用ください。

 

今日は第四章 利益測定と資産評価の基礎概念

 

 

ここで登場する単語

利益操作、利益捻出、利益圧縮、会計基準、GAAP、企業会計原則、企業会計審議会、企業会計基準委員会、企業会計基準、国際会計基準、IFRS、コンバージェンス、修正国際基準、連単分離、中小会計指針、中小会計要領、演繹的アプローチ、帰納的アプローチ、会計公準、企業実態の公準、会計主体論、資本種理論、企業主体理論、継続企業の公準、ゴーイング・コンサーン、貨幣的測定の公準、粉飾決算、逆粉飾決算、損益取引、資本取引、利益剰余金、資本剰余金、簿外資産、簿外負債、意思決定有用性、意思決定との関連性、信頼性、内的整合性、比較可能性

 

利益測定と資産評価の基礎概念

 

現金発生主義会計と発生基準会計

 

収益・費用の認識と測定

 

・前の章までに見てきた通り、収益とは純利益を増加させる項目で、費用とは純利益を減少させる項目である

 

・いつ費用と収益が生じたと認識するか、認識の問題がある。

・一方で、認識された収益と費用に金額を割り当てる側面を測定の問題と呼ぶ

 

現金主義会計

 

現金主義会計は現金が入出金するとき認識するもの

・現金主義会計では以下の問題がある

①損益計算書の収益と費用の紐づけができない
②不必要に収益の発生が遅れる

 

発生主義会計

 

・現金主義会計を補うために、債権債務が発生したときに費用を発生させるということもできる。これを権利義務確定主義と呼ぶ。または半発生主義と呼ぶ。

・しかし、これでもなお収益と費用が対応できていないので不適切である。

 

・それを解消するものが発生主義会計:現金とは無関係に、経営活動に関連する事象に応じて認識される。つまり、商品の引き渡しや、サービスの提供など。

 

・発生主義の下では、収入と支出は収益・費用の認識には影響しないが、その金額を決定するための測定基準として重要な意味を持つ。

・このように、発生主義会計における収益・費用の測定のために、過去・現在・将来の収入額や支出額を用いる方法は収入支出額基準と呼ぶ

 

発生主義会計の基本原則

 

・発生主義会計は実現原則・発生原則および対応原則という3つの基本原則からなる

 

ざっくり

・実現原則:売り上げなど

・発生原則:売上原価、販売費、支払利息など

・対応原則:収益と費用を対応付けた差額

 

対応原則

 

・発生主義会計の長所は、経済活動の成果を表す収益と費用を対応付けることができること。この基礎をなすのが対応原則

・対応原則:企業はコスト負担を持って最大の成果を達成するという本質から派生している。例えば販売活動では、保有資産の減少や販売費の発生というマイナスの効果を引き起こすと同時に、打ち上げ高の達成というプラスの結果をもたらす。この間には明らかに関連性が存在する。

・両者を対応付けて利益を算定することで、企業の営利目的の達成度合いを把握する。

 

・収益と費用の対応関係を認識するには2つの方法がある

個別対応方式:製品の売上高と売上原価のように特定の資産を媒介として収益と費用の対応関係を直接的に認識する方法
→広告宣伝費や賃貸料、支払利息などは資産を媒介とした対応関係を識別できないため。

期間的対応:同一期間に計上された収益と費用はそれらがその期間の経済活動を通じて、対応しているものとして、会計期間を媒介として対応関係を認識する
 



 

 

発生原則

 

発生原則:「発生の事実」に基づいて計上する。

 

・発生の事実とは:企業活動に伴う経済的価値の生成や消費を表すような事実意味する。

 

・なお、これに付随して貸借対照表に計上される未収収益・未払費用・前受収益・前払費用は経過勘定項目と呼ばれる

 

実現性原則

 

実現原則:収益は計上されるまで認識を延期する。実現原則は収益に関するもの。

・実現とは:①企業が顧客への財やサービスの移転を通じて履行義務を果たしたこと、②移転した材やサービスと交換に、企業が対華を獲得したこと。

・通常、ここでいう対価は現金や売掛金など、貨幣性資産のこと

貨幣性資産:売掛金や受取手形のように、販売を経て事業投資の回収過程にある項目

費用性資産:これに対して機械や商品のように、最終的に費用となる項目

 

・通常、財やサービスの販売によって収益は実現するが、時価変動を利用した短期の上場株式は、売却されなくても値上がり分を運用収益として計上する。

 

・この考え方は、実現可能性原則と呼ばれることがある

 

 

資産評価の基準

 

資産評価の諸基準

 

・資産:過去の取引の結果、財務報告の主体が支配している経済的資源

・負債:過去の取引の結果、財務報告の主体が支配している経済的資源を放棄・もしくは引き渡す義務

 

・これらは今度は評価が問題となる。重要なのは以下。

①取得した時点での価格(過去) … 取得原価

②資産評価が行われる時点での価格(現在) … 取替原価準実現可能原価

③売却する価格(将来) … 割引現在価値

 

取得原価

 

・取得原価は購買市場で過去の時点での支出額

・過去の歴史的な事実に基づくことから、歴史的原価とも呼ばれる

 

・取得原価で資産が評価される場合、資産が売却市場で販売されるまで収益は計上されない。これは収益の実現原則と一貫している

 

・短所:時価から著しく乖離する恐れがある、現在の収益に過去の価格を乗せると古い情報となり、価格変化に対応できない

 

取替原価

 

・取替原価は、保有中の資産と同じものを購買市場で取得して取り換えるのに要する支出額

・現時点の資産を再調達したと仮定するので、再調達原価とも呼ばれる

 

・購買価格を基準としていて、変動がなければ収益は計上されないので、実現下足と一貫している

 

・長所:企業の物的資本を維持したうえで現在時価を測ることができる

・短所:市場が存在しない、測定が困難というものがある
 



 

 

準実現可能価額

 

・準実現可能価額:資産の現在の売値から販売費などを控除して算出する

・そのため正味売却価額とも呼ばれる

 

・これは売値に直されて資産が評価されるので、実現原則と対立する。

・しかし、企業が環境変化に対応して業種変更する際や、将来予測に使うことができる。

・とくに売却を予定していない資産まで売却時価で評価するので、矛盾が生じる。

 

割引現在価値

 

・資産は企業にキャッシュフローをもたらす経済資源である。そのような納う力を用役潜在力と呼ぶ

・機械は製品の生産に利用されキャッシュの獲得に貢献する。したがって、資産評価の基礎として用いることができる。

 

・ただし、現金は一定期間の運用によって利子を生じるので、将来キャッシュフローを現時点で評価すると、将来よりも安くなる。

(1年後、1万円の現金を作れる機械は、今は9000円分の価値があるってこと)

 

・これ価値を割引現在価値と呼ぶ

 

・これは経済学に近い概念なので、経済学的利益と呼ばれる

 

・しかし、あまりに机上なので、これが使えるのは限られたケース。

①取引価格に金融要素を含む売り上げ収益

②一部の不良債権

③減損が生じた固定資産

④リース資産と負債

⑤利息法で評価する社債

⑥退職給付債務

⑦資産除去債務

 

現行の資産評価基準

 

混合的測定

 

・取得原価とj化による評価を分類している。これを混合的測定と呼ぶ

 

・生産や販売など、本来の業務に用いる事業用資産は取得原価が採用される

・他方、余剰資金の運用として、保有する所定の金融資産時価で評価する

・この時価には市場価格だけでなく割引現在価値も評価してよい。これを公正価値と呼ぶ

 

取得原価とその配分

 

・取得原価は支出額を基礎としているため、利益測定の際に異論がない

原価基準の下では、棚卸資産や有形固定資産のような事業用資産は、消費に応じて各事業年度の費用として配分されなければならない。これを費用配分の原則、または原価配分の原則と呼ぶ

 

公正価値

 

・時価=公正価値:算定において資産の売却によって受け取るであろう価格

 

・インプットは主に

①時価算定日に企業が入手できる、同一資産・負債の相場価格

②相場価格以外で直接的・間接的な評価

③入手できる最良の情報

 

 

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