経済学 財務会計

財務会計講義6 売上高と売上債権

投稿日:2019年7月18日 更新日:

日本一読まれている財務会計テキスト で有名な

桜井久勝さんの財務会計講義をまとめていきます。

 

スマホで見れるノートとしてご利用ください。

 

今日は第六章 売上高と売上債権

 

新しい収益の認識基準はSAPにも関連するのでSAPコンサルの方はこの章だけ読むのはありだと思います。

 

 

ここで登場する単語

営業循環、販売基準、生産基準、回収基準、延払基準、独立販売価格、履行義務、契約負債、変動対価、履行義務の充足、割賦販売、予約販売、試用販売、委託販売、受託販売、充足度、アウトプット法、インプット法、時間基準、工事進行基準、原価比例法、契約資産、契約負債、工事完成基準、原価回収基準、売掛金、売上債権、未収金、未収収益、受取手形、電子記録債権、手形割引、裏書譲渡、偶発債務、貸倒引当金、償却債権取立益



売上高と売上債権

 

営業循環における収益の認識

 

3通りの収益認識基準

 

販売基準

 

・各企業は営業循環を反復的に繰り返すことで事業を営んでいる。

・どの時点で収益を認識し、いくらで計上するのか。

 

・本来は収益は企業の経済活動を通じた価値の形成によって発生していると考えられる。そのため製造業であれば生産プロセスに原材料が投入された時点で収益を徐々に計上すべき。

・しかし、予定した価格で売り切ってしまえるとは限らない。

・販売の成功は企業が新たに生み出した価値が、経済社会で受け入れられたことを意味するから、これによりその価値は後で取り消されることのない確実で客観的なものになる。

したがって、販売の成功=販売時点で計上するのが適切。これを販売基準という

 

生産基準

 

・これに対して受注産業は生産さえすれば必ず売れる

・その場合販売前に計上するのが正しくなる

・ケースとしては、

①不動産賃貸業や設備メンテナンス業のように、継続的なサービス提供の契約が事前に存在している場合:時間基準
②建設業や造船業のように請負契約が締結されていて、取引価額が確定している場合:工事進行基準
③金銀などの貴金属のように、所定価格での生産物の容易な販売を保証する場合:収穫基準

 

・これらは生産プロセスの進行や完了で計上するため、生産基準と呼ばれる

 

回収基準

 

・見込み瀬さんのうち、販売代金の回収に大きな不確実性があるケースがある

・この場合、回収基準により、回収額だけを売り上げ計上する。

・これは現金主義会計といわざるを得ず極めて異例

・法人税法などは長期化割賦販売等とよび分割払いの代金だけを売り上げ計上することを認めてきた。これを延払基準という。しかし、2023年以降認められなくなる。

 

利益計算への影響の比較

 

・それぞれ違うよってこと

・割愛



収益認識に関する会計基準

 

会計基準の新設

 

・2021年4月以降は企業会計基準29号により「収益認識に関する会計基準」が変更になる

①これはIFRS第15号を取り入れるとともに、

②日本での適用上の課題に対応するため、国際的な比較可能性を大きく損なわない範囲で国際基準とは異なる代替的な会計処理を追加的に認める

 

・新基準は契約上の履行義務を充足したときに収益を認識することとし、財やサービスへの移転が、①一時的に生じる場合は販売基準、②一定期間にわたり生じる場合は生産基準の適用を認めている。

・回収基準は排除されている

 

ここから先、売り上げに関しては新収益基準ベースの説明になるけど、他の章に比べて説明が優しくなく、原文ママみたいな感じがします。施行前だからかなあ。

 

 

新基準による収益認識の概要

 

・収益認識の新基準は国際基準の考え方に従い、5段階に区分している

①契約の識別、②その履行義務の特定、③取引価格の算定と、④その配分、および⑤履行義務を充足した一時点での収益、という5つのステップがある

 

・以下の設例にて説明する

 

例題)

エレベーター保守点検事業の会社が、期首に5年間保守サービスを1380で契約した。エレベーターの設置と据え付けだけだと1000としており、5年間保守は500としている。

 

この場合、

・①企業と顧客の合意が契約として識別され、②エレベーターの販売・据付・保守が義務となる

・③対価は1380だが、④独立販売価格は1000と500
従って、エレベーター:保守=2:1で1380を配分することになる(920:460)

・そして、⑤エレベーター売上高は据付完了時点に計上し、保守点検は一定期間ときの比例で計上する。(460÷5年)

 

契約と履行義務の識別

 

契約の識別

 

・収益認識の第一ステップは契約の識別

・契約とは企業と顧客の間に法的強制力のある権利義務を発生させる取り決めをいい、書面・口頭・取引慣行のいずれでも以下の要件を満たす必要がある

①当事者が契約を承認し履行を約束
②当事者の権利と
③支払条件を識別でき
④企業の従来キャッシュフローを変化させる経済的実質があり
⑤対価が回収できない可能性よりできるる可能性の方が高いこと

 

ふむ、、、。法律っぽい。

 

・これらを満たしていても未履行の段階では収益認識の対象にならない

 

・いったん契約したものの価格が変更された場合は、以下のように処理する

①新たな財やサービスが追加されて契約の範囲が拡大し、かつ追加分の独立販売価格に見合うだけ対化学が増額されていれば追加分を独立して取り扱うが
②この条件を満たさず、財やサービスの範囲に変化がなければ既存の契約の変更として会計処理する(例えば価格のみ)
③しかし、財やサービスの範囲変更を伴う場合、新規契約として扱う

 

設例)

製品10個を@100で販売する契約をしたが、6個を販売した時点で契約が変更され新たに5個を追加して15個販売することになった。加えて納入済み6個に対する客からのクレームにより、追加の5個分は独立販売価格より安い@40で販売する。

この場合、

(1)追加の5個分は新規契約として扱うので、

未納入の4個 売掛金 400 / 売上 400
追加の5個  売掛金 500 / 売上 500

(2)クレームにより、追加の五個は1個@40

納入済みの6個 売上 120 / 売掛金 120  … 単価差額の20を6個分返却
未納入9個     売掛金 720 / 売上 720   … 新単価80で残り9個売り上げ
商品の平均単価=(@10*100+@5*40)/15=80

 

要は割り引いた金額もちゃんと単価に直してそれで売り上げろよってことね

 

履行義務の識別

 

収益認識の単位

 

・顧客との契約で企業が約束するのは履行義務

①約束された財やサービスから単独で便益を享受できる
②契約に含まれる他の約束と区別できる

 

・ここでは以下の留意事項がある

 

本人と代理人の区別

 

・顧客への財やサービスの提供で企業が果たす役割は、①企業自らが財やサービスの提供する履行義務がある場合と、②他の当事者が提供するように手配することが履行義務 のケースがある

・①では取引価格の総額を売上高に計上するが

・②は代理人に過ぎないから、顧客皿の受取額から他の当事者への支払額を控除した純額だけを収益に計上する

 

設例)

 

当社は80円で仕入れ、100円で販売して現金を受け取った。当社はこの商品の販売促進に関与するが在庫管理・品ぞろえや販売価格の決定権は仕入先なる。

 

この場合

現金 100 / 買掛金 80
受取手数料 20

となる。

 

商社のイメージかな?

収益は20のみ。

 

==SAPメモ==

SAPだと

発注で在庫商品を通さない場合、

売上原価 80 / 買掛金 80
売掛金 100 / 売上 100

がこれまでなので、どうなるんだ?売り上げが割れる?
確か、Noteが出てたはず。そのうち探そう。

==

 

追加の財やサービスを取得するオプションの提供

 

小売店のポイントサービスなどは、履行義務が発生しているため、

①現時点で提供した材やサービスにつ廃部した額は当期の収益として認識するが
②オプションに配分された額は、オプションの行使や消滅時に収益として認識する

 

設例)

商品購入ごとに10%ポイントサービス。顧客がポイント利用する確率は80%とする。

現金 1000 / 売上 926
契約負債 74

契約負債の勘定を設ける

 

財やサービスに関する保証の付与

 

・付与した保証はそれが別個に履行義務として認識されるかにより以下になる

①顧客に移転したサービスが合意された使用であれば製品保証引当金を計上する。(パソコンの初期不良など)
②しかし、合意された仕様に加えて通常より長期など追加的なサービスがある場合は、追加保証サービスを別個の履行義務として契約負債を計上する

 

取引価格の算定と配分

 

取引価格の算定

 

取引価格による収益の測定

 

・取引価格とは財やサービスを顧客に移転するのと交換に、企業が権利を得ると見込む対価の額を言う

・企業が顧客から受け取る金額であっても、第三者のために回収する部分は売上収益に含めない

・税も同様。税抜きで処理しなければならない

 

変動対価

 

・顧客と約束した対価のうち変動する可能性があるものを変動対価という

①仮価格での取引や交渉中の売上値引き、②大量取引による代金減額分としての売上割戻や返品、③早期納品を促すインセンティブ対価や割増料金と納品遅延のペナルティとなる対価の減額、④返品権付販売 など

 

・変動対価を含む取引は、変動部分の金額を見積もるとともに、対価額の不確実性が事後的に解消する際にそれ以前に計上した収益の著しい減額が生じない可能性が高いと見込まれる金額だけを、売上収益に計上し、各決算日に金額の見直しを行う。

 

・変動対価の見積もりに関しては最頻値による方法と期待値による方法のうち、企業が権利を得ることになる対価額を適切に予測できる方法を選択し首尾一貫して適用する

 

説明これだけなんですが、原文ママ過ぎませんかね。設例みますか

 

設例)

製品を@10で販売するが、100個購入した顧客は@9とする。

①ある顧客は10個購入したが、年間100個を越えないと見込まれるケース

売掛金 100 / 売上 100

②その顧客がさらに40個購入し、年間100個超えることが見込まれてきた

売掛金 350 / 売上 350

… @90*40 – @1*10 = 350

 

つまり@9で50個売ったように調整しろってことですね。

 

==SAPメモ==

これ大丈夫か?実際可能?重要性の原則で期末に振り替えるとかになりそう。Noteで対応できたような…。

==

 

金融要素

 

・対価額の回収を相当期間にわたり猶予するなど、顧客に対して信用供与の重要な便益が提供される場合は、取引価格に金融要素が含まれるので、対価額から金利相当分を除去した額で売上収益を計上する

・割賦販売の取引については対価回収の猶予期間の利息相当額のみ通常の販売より高く設定されるのが通常である。

割賦の仕訳は省略

 

・割賦販売での対価の回収の猶予とは逆に企業は対価の回収を促進する目的で短期間内対価を支払い場合には金利相当分を免除することがある。これは売上割引と呼ばれ、損益計算書では営業外費用にするのが一般的。

現金98       / 売掛金 100
売上割引 2

 

==SAPメモ==

この割引と日本の風習の締めが絶望的に合わず、取引ごとに割引ならいいのだが、合計額に対して割引となると請求書がつらい

==

 

履行義務への配分

 

・取引価格が複数の履行義務に対するものである場合は、取引開始日の独立販売価格の比率に基づき配分する

・直接配分できない場合は

①財・サービスの販売市場を評価して顧客が支払う価格を見積もる
②履行義務の充足に要するコストの見積額に適切な利益相当額を加算する
③取引価格の総額から他の独立販売価格する

・売上額が、それぞれの独立販売額合計を下回る場合は、値引きしているので適切に配分する



履行義務の充足による収益認識

 

・収益は企業が履行義務を充足することにより認識される。

履行義務の充足とは:約束した財やサービスの支配が、企業から顧客に移転することをいう

 

・企業が履行義務を充足するパターンは

①エレベーター設置のように一時点で完了するものと
②メンテナンスのように一定期間必要なものがある

 

・この場合まずは以下のケースのものを②と判断し、それ以外を①と判断する

1)企業による履行義務の充足につれて、顧客が便益を享受すること
2)履行義務の充足につれて、資産の創出や価値増加が生じ、顧客がその資産を支配すること
3)創出ないし価値増加した資産を企業が別の用途には転用できず、かつ履行済み部分の対価の収益を強制できる権利を有すること

・ただし、これらを充足していても、期間が短ければ①のケースとしてもよい

 

一時点での収益認識

 

通常の販売

 

・資産に対する支配が企業から顧客に移転した時点で収益を認識する

・収益の計上日の時点は次の指標がある。①対価を収受する権利の獲得、②法的所有権の所在、③物理的占有の移転、④顧客による資産のリスク負担と経済価値の享受、⑤顧客による資産の検収

 

割賦販売でも財の移転により、上記指標は満たされるので取引時点で売上計上する

・顧客から事前に予約金をもらう予約販売では一旦予約金を負債にして置き、差異が移転するタイミングで売上高に振り替える

・返品自由の条件で買い取ってもらう試用販売では、顧客の買取の意思表示により、その時点で売上計上する

 

特殊な販売契約

 

買戻契約

 

・買戻の場合は「権利・義務」、「販売価格と買戻価格の関係」、「買戻価格と市場価格の関係」により会計処理が決まる。(下表)

 

権利義務の内容 販売価格と買戻価格の関係 買戻価格と市場価格の関係 会計処理
企業が無条件の買戻義務を負う、または買戻し権利を持つ 販売価格>買戻価格 リース
販売価格<買戻価格 金融
顧客の権利行使により企業が無条件の買戻し義務を負う 販売価格>買戻価格 買戻価格>市場価格 リース
買戻価格<市場価格 返品権付販売
販売価格<買戻価格 買戻価格>市場価格 金融
買戻価格<市場価格 返品権付販売

 

あまり業態がイメージできないから覚えにくい…

 

委託販売契約

 

委託販売:企業が自己の商品の販売を他企業に依頼する取引を言う

受託販売:逆に、企業が他企業の商品販売を引き受ける取引を言う

以下のケース

①受託者の販売前は委託者が商品を支配し
②委託者による商品の返還要求や第三者への販売が可能であり
③受託者が委託者に無条件の対価支払義務を負わないこと

 

・この場合委託者の売上は、受託者へ商品引き渡し時ではなく、受託者が商品を最終消費者に販売した時点になる。このため販売時点は受託者からの売上計算書到達日ではなく、売上計算書に示された最終顧客への販売日付にする。

 

請求済未出荷契約

 

・企業が顧客への対価請求を終えているが、商品の物理的占有は将来時点で引き渡すまで終わらない。その場合未出荷でもあっても次の要件を満たすため売上計上する。

①その契約の締結に合理的理由があり
②商品が他とは区別されており
③顧客への物理的な移転準備が完了しており
④その商品が自社や他顧客に振り向けることがない

 

返品権付販売契約

 

・売上返品や返金の見込額をあらかじめ控除して売り上げを立てる

 

@7の商品を100個を@10で現金販売したが、20個の返品は予想される

現金 1,000    / 売上 800
返金負債 200
売上原価 500  /  商品 700
返品負債 140

 

売上側と売原側でそれぞれバランスさせる



一定期間にわたる収益認識

 

進捗度の見積もり

 

・一定期間にわたるものは充足度を測り収益計上する

・継続的なサービス契約や、建設工事、造船、ソフトウェア製作などがあたる

 

・そのためには履行業務の充足の進捗度を合理的に測れなくてはならない

・それにはアウトプット法とインプット方がある

アウトプット法:企業が今までに移転した部分の顧客にとっての資産価値を測る

インプット法:投入されたコストの割合を持って測る

 

継続的役務提供

 

・継続的役務提供とは、ビル清掃や設備メンテナンスなど事前に締結された契約基づいて継続手金サービスすもの

・これは経過時間に基づいて処理するので、時間基準と呼ばれる

・アウトプット法に基づく

 

工事進行基準を適用する工事契約

 

・完成前でも収益を認識しないと、工期が長いものは計上されない

・工事がどの程度進んだかで判断する工事進行基準により測定する

 

・インプット法を採用する場合が多く、その場合、工事見積額のうち当期末までに発生した工事原価の割合で測定する原価比例法も合理的

 

・工事進行基準は毎期末に見直すことが求められる

 

・第一年度の工期収益を計上する仕訳の相手勘定は契約資産である

・これは完成した時点で債権(工事未払金)に振り替わる

 

・逆に対価を受け取る場合は、契約負債を立てる

・前受金に近い扱い

 

==SAPメモ==

この辺はPSモジュールを使って実現する必要がある

==

 

・工事が完成して渡す場合は、工事完成基準という

 

・一方、見積もりができなくても発生した費用が回収可能であると予想できるのであれば回収可能額を費用と収益として計上する。これを原価回収基準と呼ぶ



売上債権

 

売掛金

 

売掛金:通常の取引で発生した営業上の未収入金

・受取手形合わせて売上債権と呼ばれる

 

・営業取引以外のもの、未収金。有価証券の販売など

 

・また未収収益は一定の契約に従いサービスを提供する場合に既に提供したサービスに対してまだ回収できていないもの。不動産賃貸や金銭貸付など

 

・これらは流動資産だが、でゃさん債権などは1年以上回収できない場合、「投資その他の資産」とする

 

受取手形

 

受取手形の種類と区分

 

受取手形は手形債権のこと

・2008年からは電子記録債権をわけて管理する

 

・これらも売掛金同様基本は流動資産、一部「投資その他の資産」とする

 

手形の割引と裏書譲渡

 

・受取手形には満期を待つ以外に裏書譲渡ができる

手形割引は満期前に持ち込み、金利分を差し引いて現金化する

 

裏書譲渡は手形の裏面に署名し譲渡する

・裏書譲渡した手形が不渡りとなった場合には支払に応じなければならない。このようなものを偶発債務と呼ぶ

 

貸倒引当金

 

貸倒引当金を計上することがある

 

・貸倒引当金は

①貸借対照表の債権の科目ひとつひとつ区別して記載する
②債権額本体には控除して記載し、他の科目として、それぞれあるいは一括で記載する

 

貸し倒れが発生し、

・取崩額が少なければ、相殺させる

・取崩額が多ければ、当期の販売費から控除する。したがって償却債権取立益として特別利益に計上する処理は行わない。

 

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