経済学 財務会計

財務会計講義8 有形固定資産と減価償却

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日本一読まれている財務会計テキスト で有名な

桜井久勝さんの財務会計講義をまとめていきます。

 

スマホで見れるノートとしてご利用ください。

 

今日は第8章 有形固定資産と減価償却

 

 

 

ここで登場する単語

有形固定資産、償却資産、減耗性資産、非償却資産、建設仮勘定、無形固定資産、投資その他資産、圧縮記帳、保険差益、国庫補助金、建設助成金、工事負担金、資本説、利益説、用役潜在価値、積立金方式、繰延利益、資本的支出、収益的支出、耐用年数、残存価額、減価償却、正規の減価償却、自己金融作用、減価償却累計額、未償却残高、定額法、定率法、級数法、生産高比例法、取替法、取替資産、廃棄法、キャッチ・アップ方式、プロスペクティブ方式、直接法、間接法、固定資産除却損、固定資産売却損益、減損、減損処理、減損の兆候、回収可能価額、減損損失、正味売却価額、使用価値、土地再評価法、賃貸等不動産、リース取引、ファイナンス・リース、解約不能の条件、フルペイアウトの条件、オペレーティング・リース、実質性の原則



有形固定資産と減価償却

 

固定資産の範囲と区分

・固定資産大きく2種類からなる

①企業が経済活動を遂行するために1年を超える長期にわたって保有する事業用資産

②現金化されるまでの日にちが1年を超える金融資産

 

有形固定資産

 

有形固定資産:1年を超えて利用するために保有する資産。この中でも①償却資産、②減耗性資産、③非償却資産、④建設仮勘定に分類される

 

償却資産:使用しても数量が減らないもの。1.建物、2.構築物(橋や下水道など建物以外のもの)、3.機械装置、4.船舶、5.航空機、6.車両運搬具、7.工具器具備品(コンピュータ、コピー機など)

 

減耗性資産:鉱山・油田・山林のように使えば数量が減り枯渇していくもの。これらは採種量に応じて償却され、売上原価を構成することになる

 

非償却資産:時間経過によっても価値を低下しないもの。土地などだが、希少価値のある美術品なども含む

 

建設仮勘定:建設業者に支払った手付金をはじめ資材購入費などすべてをいったん集計する。また完成後は本来の資産に振り替える

 

無形固定資産

 

無形固定資産:物理的な形を持たないが1年を超えて利用する。①特許権など、②ソフトウェアなど、③収益性の高い企業を買い取った暖簾が含まれる

 

投資その他資産

 

投資その他資産は以下の通り

①株式・公社債のうち長期保有のもの(第5章3節)
②預金・貸付金のうち長期保有のもの(第5章2節)
③破産債権・更生債権で決算日から1年以内に回収されないもの(第6章5節)
長期前払費用:一定期間のサービス提供を受ける場合の代金で1年以上のもの(第2章2節)
賃貸等不動産:賃貸収益や時価変動による利益の獲得を目的としているもの(第8章4節)

 

有形固定資産の取得原価

 

取得方法別の取得原価

 

・有形固定資産は取得原価から減価償却累計額を控除した金額で貸借対照表上に計上される

・取得原価は以下のように決まる

 

購入の場合

 

・購入代価に不随費用を算入して決定する。不随費用は以下の通り。

①引取運賃、買入手数量、関税など企業外部で発生するもの
②据付費・試運転費など資産を使用可能にするための内部費用

 

・割戻などを受けた場合には原価に参入する

・しかし、早期支払いによる値引きは金利性のため営業外収益とする

 

自家建設の場合

 

・適正な原価計算の基準に準拠して算定された製造原価を持って取得原価とする

 

・なお借入金の利息は期間費用として扱うべきであり、製造原価に参入してはならない

この理由は、①資産は用役潜在能力を示すもので、自己資金や借入金かで評価額が変わってはならない、②借入金と自家建設資産の対応が不明確な場合、利子を加算すべき資産とそうでないものの判別ができないため。

 

現物出資の場合

 

・受け入資産の評価額と、出資者に対価として公布した株式の評価額のうち、高い信頼性を持って測定可能な方を評価額とする

 

交換の場合

 

①譲渡資産の簿価、②譲渡資産の時価、③受入資産の時価 の3通りが考えられる

・実際に利用するのは①と③

 

・自己所有の有形固定資産と交換に有形固定資産を取得した場合には、上記①譲渡性資産の簿価にて取得原価とするものとしている。

・また、法人税法上は交換の場合、一旦③の受入資産時価にて計上し交換差益を計上したうえで、交換差益と同額だけ受入資産に振り替える。これを圧縮記帳と呼ぶ

 

設例)

簿価4000万・時価3億円の土地と、時価3億円の別の土地を交換した場合

土地     300,000,000 / 土地     40,000,000
/ 土地交換差益  260,000,000

土地圧縮損  260,000,000 / 土地  260,000,000

 

・保険をかけていた資産が失われて交換になった場合には保険差益を利用する

 

贈与の場合

 

・贈与の場合は、①無料でもらったから取得原価ゼロとすべき、②贈与時点での時価にすべき、という2つがある

・原則は②を採用する。用役潜在価値を意味するから。

・しかし、国庫補助金や工事負担金で取得した固定資産は圧縮記帳が認められている(後述)



国庫補助金等で取得した資産

 

国庫補助金:国や地方自治体から補助を受けたもの。特に固定資産の取得に充当すべき補助金は建設助成金と呼ばれる

工事負担金:電気・ガスなどの公益企業がそのサービスを供給するための設備を新規に建設するのに要する工事費。例えば工事代金は消費者が負担するが設備は電力会社所有となる

 

 

・国庫剰余金は資本剰余金とみてB/Sに反映すべきという説(資本説)と、特別利益としてPLに反映すべきという説(利益説)がある

 

資本説は、企業を株主から独立した別個の存在として認識する企業主体理論を基礎とする。資本説では国が出資したの利益に入れると株主に配当が行きおかしいと主張する。一方で問題点がある。1.企業の解散時には株主に配分されるので利益として株主に帰属するといわざるを得ない。

 

利益説では、圧縮記帳を利用することで、課税の問題も回避できる。圧縮記帳を貸借に計上すれば最終的に相殺され利益には影響ない。

 

・圧縮記帳だと、固定資産取得額が下がるため用役潜在価値の原則からは外れるが、圧縮記帳は資産評価の例外規定として認められる。

・圧縮記帳は以下のどちらかを取る

①取得原価から国庫補助金の金額を控除する
②取得原価から国庫補助金の金額を控除した残額のみ記帳し、当該金額を注記する

 

・また利益説にはもう一つあり、それを積立金方式と呼ぶ

・贈与額を一挙に利益に計上するのではなく、一旦繰延利益として徐々に取り崩して利益に算入する方法

 

圧縮記帳の計上方法

 

・総括すると大きく3つ①資本剰余金方式、②圧縮記帳方式、③積立金方式

 

設例)設備資金として国から500万円の補助金の交付を受け、これを利用して800万円の有形固定資産を購入した。残額は現金で払った。

 

 


資本剰余金方式

有形固定資産 800 / 国庫補助金(BS) 500
現金 300

※これだと取得原価800

 


圧縮記帳方式

 

有形固定資産  800 / 国庫補助金受入益 500
現金 300

固定資産圧縮損 500 / 有形固定資産 500
※これだと圧縮後原価300

 


積立金方式

 

有形固定資産  800 / 国庫補助金受入益 500
現金 300

繰越利益剰余金 500 / 圧縮記帳積立金 500

 

資本的支出と収益的支出

 

資本的支出:当該固定資産の原価に算入されて資産となるもの(改良のための支出。建物をさらによくする)

収益的支出:固定資産の原価とせず支出年度の費用として取り扱われる(維持のための支出。修繕費など)

 

減価償却

 

原価配分としての減価償却

 

正規の減価償却

 

・有形固定資産は生産活動に使われているので、取得原価を資産の利用を通じて達成された売上と対応付けるために費用として配分する必要がある。

・使用可能年数(耐用年数)が経過した時点で、残存の評価額(残存価額)まで費用地して配分する(減価償却)する必要がある

・毎期継続して減額していくので、これを正規の減価償却と呼ぶ

 

・有形固定資産に投下され、その取得原価として拘束されていた資金は減価償却の手続きを経て売上高と対応付けられ、売掛金や現金預金の貨幣性資産の形で回収される。

・減価償却による資金の増加を自己金融作用と呼ぶ

 

税務上の特別償却

 

・所定の設備投資を促進する目的で初年度を損金として処理することを認めている。太陽パネルなど。

・このような場合は引当金の形で特別償却準備金に繰り入れる方式、および利益剰余金の処分として特別償却準備金に繰り入れる方式がある。



減価償却費の計算要素

 

・取得原価、残存価額、耐用年数などの基準の3つを使って計算する

 

・取得原価は第二節のとおり

 

・残存価額は財務省が10%といっているので、その採用が多い

 

・耐用年数は独自に決めたり税務当局の内容を採用する

 

減価償却費の計算方法

 

・減価償却の一定の金額の合計額を減価償却累計額といい、残っている額を未償却残高と呼ぶ

 


定額法

・毎期同じ額を引く

減価消却額=取得原価÷耐用年数

 


定率法

・毎期同じ率で引く

減価消却額=(取得原価ー減価償却累計額)× 償却率

償却率=1÷耐用年数×所定倍数

 


級数法

・耐用年数に基づいて計算した算術級数を利用する

・例えば耐用年数5年であれば、1+2+3+4+5=15を使って

・1年目には5/15、2年目は4/15 …というように減額していく

 


生産高比例法

・資産の利用度に応じて配分する

減価消却額=(取得原価)× 各期の実際利用料/総利用可能量

 


取替法

 

・鉄道のレールなど、同種の資産が多数集まって1つの機能を果たす資産群に対して老朽部分を取り換えることで全体機能を維持する。

・このような資産を取替資産と呼ぶ

・取替法は老朽品を部分的に取り換えるまで取得原価は減価償却は行わない。

・実際に取り換えた際にコストを費用として処理する。

(後入先出っぽい)

 

・似たような方法に廃棄法がある

・取替が生じた時点で、廃棄された資産の取得原価を費用とする。

(先入先出っぽい)

 

・どちらの方法も簡便だが、実際の取替まで取得原価が配分されない、また実際の取替が集中すると費用が偏るという欠点がある

 

減価償却に関する変更

 

耐用年数・残存価額等の変更

 

・中古資産の市場価格変動や新生産技術の発明などにより、当初よりも耐用年数や残存価額が変更する場合に減価償却科学を変更する

 

キャッチ・アップ方式:変更後の残存価額や耐用年数を最初から適用していたと仮定して再計算した未償却残高に合致するように旧来の未償却残高を修正し、差額を過年度の減価償却修正分として特別損益に計上する。

プロスペクティブ方式:過年度償却計算を修正することなく変更の影響を変更後の会計期間の減価償却計算に吸収する方法

 

・耐用年数の変更などは環境変化によるものであり、当初見積もりは正しかったという理由でプロスペクティブで実施するよう規定している。

 

減価償却方法の変更

 

・これは①会計方針の変更、②資産能力の減少パターンに関する見積もりの変更のケースがある

・こちらも同様にプロスペクティブ方式で処理することになる

 

減価償却の記帳と表示

 

直接法は減価償却費の相手勘定が固定資産そのもの

間接法は相手勘定が減価償却累計額になる

 

・間接法が望ましい

 

除却と売却

 

・有形固定資産は耐用年数を経過して時点、除却、売却のいずれかで消滅する

 

・除却した場合は未償却部分を固定資産除却損として処理する

・売却の場合は差額を固定資産売却損益として計上する

 

・有形固定資産の売却・除却は特別損益に計上することが多い

 

固定資産の期末評価

 

減損の意味とその兆候

 

・固定資産への投資は十分に回収できることを期待して実施されるがその収益性が急激に低下することがある

・その状態を減損という

・その時は帳簿価額を減額する減損処理を行わなければならない。方法は以下の通り

 

・まず初めに企業が保有する固定資産をできるだけ細かく区分する。その判定単位は単独資産のこともあれば複数資産を含む資産グループの可能性もある

・資産グループは主なものにのれんや共用資産がある。これらは合体させて大きな単位で判定するのが原則

 

・次に減損の兆候の有無を検討する。それは以下のようなものをさす

①損益計算書における営業損益や、キャッシュフローの継続的マイナスなど
②事業再編の実施
③経営環境の著しい悪化
④当該資産の市場価格の下落など

 

減損損失の計上

 

・減損する資産は、その帳簿価額を回収可能価額まで減額して、減額分を減損損失として特別損失に計上する

・したがって、固定資産の回収可能価額は、①売却による回収額としての正味売却価額と②継続使用による使用価値のいずれかの高い方である

 

土地の再評価

 

土地再評価法が1度だけ採用されて、帳簿価額の増加が認められたことがある

・1998~2002年

==

これはなんでだ?

==



賃貸等不動産の時価情報

 

・2010年から賃貸等不動産の期末時価評価が求められている

・この対象となる賃貸等不動産とは棚卸資産に分類されている以外のもの

 

リース会計

 

リース取引と実質優先の原則

 

リース取引とは、ある特定の物件の貸し借りのこと

・ファイナンスリースとオペレーティングリースがある

 

ファイナンス・リース:リース契約中に解約が不可能(解約不能の条件)で、かつ、リースから生じる経済的利益とコストが実質的に借り手に帰属する(フルペイアウトの条件

 

オペレーティング・リース:それ以外

 

・ファイナンスリースはさらに2つに分類される。

①所有権移転ファイナンス・リース:途中で割安購入ができる

②所有権移転外ファイナンス・リース:途中で割安購入ができない

 

・ファイナンスリースは借り手から見れば実質買い取っているようなものなので、長期分割払いのような扱いとする。実質性の原則を優先する

 

・ファイナンスリースの仕訳
リース資産 100 / リース債務 100

・オペレーティング・リースの仕訳
支払リース料 100 / 現預金 100

 

ファイナンス・リースの会計処理

 

取得原価

 

・これは資産に計上する

・しかしリース料は利息部分が含まれるのでこれは割り引かないといけない

・正しくはリース会社が取得した価格になるが、借手がその金額をわからに時には見積もればよい

 

-経済学, 財務会計

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