経済学 財務会計

財務会計講義10 負債

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日本一読まれている財務会計テキスト で有名な

桜井久勝さんの財務会計講義をまとめていきます。

 

スマホで見れるノートとしてご利用ください。

 

今日は第10章 負債

 

税効果会計は難しい!!!!

 

 

 

ここで登場する単語

有則



負債

 

負債の範囲と区分

 

負債の範囲

 

・負債:将来の企業の資産を減らすもの

 

・経済的負担の大部分は法律上の債務であり、確定債務と条件付き債務に分類される

 

確定債務:その履行についていつ、だれに、いくら、が既に確定しているものをいう

条件付債務:上記のうちいずれかが決まっていない債務。条件付きではあるが将来の資産減少は合理的に予想される。そのため決算には計上しなければならない。退職給付引当金など。

 

・これ以外にも、たとえば将来実施される点検や修繕などはそれにあたる。これらは法律上に該当しないので会計的負債と呼ばれる

 

・以上負債には①確定負債、②条件付負債、③債務ではない経済的負担 の3つがある。

・財務会計の概念フレームワークでは負債は「過去の取引または事象の結果として、経済的資源を放棄または引き渡す義務、その他同等物」と定義している

 

負債の区分

 

・負債は資産と同様に流動負債固定負債に分かれる

 

・負債は、[仕入 → 生産 → 販売 → 回収] の営業循環の中にあるか否かで判断される
(営業債務と営業外)

 

・1年以内のものは流動負債、1年以上は固定負債となる

 

引当金

 

引当金の本質

 

引当金は企業にとって避けられない将来の経済的負担のうち、当期の収益に負担させることが妥当な項目のみに限定される

 

引当金設定の要件

 

・引当金を適用する条件は以下の通り

  1. 将来の特定の費用または損失に関するものであること
  2. その費用と損失の発生が当期またはそれ以前の事象に起因していること
  3. その費用・損失の発生の可能性が高いこと
  4. その金額を合理的に見積もることができること

引当金の種類と区分表示

 

・引当金はその性質により資産から控除する引当金と、負債たる引当金に大別される

・貸倒引当金は前者となり、債権の回収可能額を評価しているという点から、評価性引当金と呼ばれる

・後者は退職給費金のように「条件付債務」と「債務以外の経済的負担」が該当する。これらは負債の部なので負債性引当金と呼ばれる

 

利益留保性の準備金

引当金としては認められないが、引当金と混同されやすいものが、利益留保性の準備金である

 

利益留保性の準備金

例)海外投資等損失準備金 … 海外での資源開発じぎょへの投資を促進するために、準備金への繰り入れを損金として控除することを認めているが、それらは引当金に該当しないため利益剰余金として積立することを認めている。

 

やりたいこと) 〇〇準備金繰入 100 / 〇〇準備金 100 →引当金該当しないので資本に繰入を許可
実際の処理) 繰越利益剰余金 100 / 〇〇準備金 100



納税義務と税効果会計

 

税金の申告と納付

 

・法人は、法人税と住民税と事業税の3つを支払わなくてはならない

 

法人税:課税所得額に所定の税率を乗じて算定する。国税
住民税:資本金と法人税額から一定額を算定する。都道府県と市町村に納付する税金
事業税:課税所得に税率を乗じて算定するが、企業活動に不可欠な治安や環境整備などに利用するため赤字企業からも徴収する

 

・これらの税金は、決算日から2カ月以内に課税所得と税額の計算した確定申告書を提出し、支払わなくてはならない

 

・しかし、会計期間が1年の企業は中間申告が必要

・中間申告で納付した額は、仮払法人税等として記録する。不足分を未払法人税等に置き換える

 

税効果会計の必要性

 

・法人税の費用計上だけでは発生主義会計とは言えない

・法人税等を費用と考える限り発生主義会計のもとで、税金の費用と税務上の負債は取引や事象が発生した期間に対応づける必要がある。

・この目的のために、納税義務額を期間配分することを税効果会計と呼ぶ

 

・税効果会計が必要になるのは、財務会計上の「費用・収益」と税務上の「益金・損金」に差が出ているから

・この原因は①永久差異、と一時的な②期間差異に分類される

※例えば貸倒引当金などは差異が起こる原因

 

・損益の差異は資産・負債の一時的な差異を生じる

一時差異:貸借対照表上の資産・負債の金額と、課税所得計算上の資産・負債の差額

 

繰延税金資産と繰延税金負債

 

・一時差異は将来の解消されるので、将来加算一時差異と将来減算一時差異の2つに分類される

 

将来加算一時差異:解消時に課税所得を増額する

 

例)

剰余金の処分で設定した海外投資等損失準備金や圧縮記帳の積立金などは、取り崩したときに納税額を増加させる。

そのため繰延税金負債という名称で負債にも追加計上が必要

借り方には法人税等調整額がくる

 

法人税等調整額 100 / 繰延税金負債 100

 

将来減算一時差異:解消時に課税所得を減算する

例)貸し倒れ引当金など、限度額を超えた分は当期の課税所得を増加させるが、貸倒が発生する小来年度で貸倒損失として損金算入され課税所得を減少させる

 

・したがって前払い相当額について次の仕訳を計上し、繰延税金資産を利用する

 

繰延税金資産 100 / 法人税等調整額 100

 

なお、繰延税金の金額計算には2つの方法がある

繰延法:課税所得に基づく納税義務のうち、当期の税引前利益に対応しない部分を繰り延べることが焦点となるため、一時差異の発生年度税率を利用する

資産負債法:回収額・追加支払額を重視するので、一時差異の解消年度の税率を利用する

※日本では後者を採用している

 

・税効果会計の計算は一時差異が消滅する年度の法定実行税率を用いる

※法定実効税率:法律で定められた税率に基づく納税義務額を税引前利益の金額で除して計算する(省略)



流動負債

 

買掛金:営業上の債務

支払手形:仕入れ先との間の通常の取引対価として振り出した手形

電子記録債務とは区別する

前受金も負債に計上される

 

営業債務以外の流動負債

 

短期借入金:1年以内の借入金

未払金:固定資産や有価証券の購入など

未払費用:継続して役務の提供を受ける場合、いまだその対価の支払いが終わらないもの

前受収益:継続して役務提供する際にいまだ提供していないのに払われたもの

 

預り金:従業員給与に対する源泉徴収税や社会保険料の預かり額など

 

短期の負債性引当金

 


賞与引当金

 

・従業員に支払う賞与のうち、当期に負担すべき額を見積もって引当金を設定することが必要

 

 


修繕引当金

 

・有形固定資産の修繕に必要な引当金

・法律上の債務ではないので、「債務以外の経済的負担」になる

 

 


製品保証引当金工事補償引当金

 

・販売した製品の補償や建築した建物の工事に関する設定は必ず発生するのであらかじめ推定し算定する

・なおポイントを付与する企業はポイント引当金を設定する



固定負債

 

社債

 

社債の意義と種類

 

社債は借用書のため債務となる

 

・社債には3種類ある

普通社債:発行企業が購入者に対して満期日までに定期的に利子を支払うとともに満期日に償還して額面金額の返済を行う

転換社債:普通社債の性質に加えて、一定の条件で株式に転換できる権利が付与された社債

新株予約権付社債:その保有者が前もって決められた金額を払い込んで新株式を購入する権利が付与された社債

 

・転換社債や新株予約権付社債の権利行使には対価の支払いが必要だが、保有中の社債を対価にするのが転換社債、現金振り込みするのが新株予約権付社債。しかし、転換社債も前もって定められた条件で株式を受け取る権利(新株予約権)があるため、転換社債型新株予約権付社債と呼んでいる。

 

普通社債の発行と償還

 

・普通社債は長期資金を調達するために発行され、発行後に定期的に利息が支払われ、満期時またはそれ以前に償還される

・ポイントは以下の通り

  1. 社債は取締役会の決議により発行される。発行時に発行価額で負債に計上する
  2. 所定の利払日には前もって定められた利率で社債利息が支払われる
  3. 社債の発行価額が額面と異なる場合償却原価法で算定した金額を持って貸借対照表上の価額とする。利息法定額法がある
  4. 社債発行のために直接支出した費用を社債発行費として繰延資産に計上して場合、償還までに償却する
  5. 社債の償還には満期償還と途中償還がある
新株予約権付社債

 

・新株予約権付社債を発行する際には、いくらの払込より新株式1株を受け取ることができるか、を前もって決めなければならない

・新株予約権は権利行使により資本に代わるため社債本体と区別することがある

・社債本体と新株予約権を区別する方法を区分法という

 

転換社債

 

・何円分の社債に対して、1株を交付するかをあらかじめ決めなければならない

・転換社債の発行価額は社債の対価部分と新株予約権の対価部分から構成される

①これらを区分しない一括法を採用しても良いし

区分法で処理しても良い

 


まとめ

新株予約権付社債 転換社債
発行企業 区分法 一括法 or 区分法
取得企業 区分法 一括法

 

長期借入金

 

長期借入金:1年を超える借入金。1年以内になった部分は「1年以内返済の長期借入金」として流動負債になる

 

退職給付金引当金

 

・確定拠出制度は社外掛金を拠出するので毎期の掛金額を人件費と計上すればそれ以上の処理は必要ない

 

・確定給付制度では勤続年数や給与水準などで個別に算定される額を退職に際して給付するので、引当金として処理する

・ポイントは以下の通り

  1. 従業員の退職時に支払われると見込まれる退職給付額を将来昇給も含めて見積もる
  2. 退職給付総額は勤務期間中の各年度に配分する
  3. 発生額は将来時点を基準とするから割引率と退職時までの期間により現在価値を差し引いて現価方式で算定する。年度ごとの費用を勤務費用と呼ぶ
  4. 利息費用も含めなければならない
  5. 生命保険会社などと契約して基金を社外に設立するケースも多い。その場合掛け金拠出のみでよい
  6. 有価証券などで運用して収益を獲得するため、期待運用収益は軽減される
  7. これらより、退職給付費用は(勤務費用+利息費用ー期待運用収益相当額)により決定する
  8. 退職給付制度に変更があった際には過去勤務費用に変化が生じる。この過不足額を数理計算上の差異と呼ぶ。差異が発生すると、①その金額を一括して修正する、②将来の年度で分割して調整する(遅延認識)、がある。個別財務諸表上は長期的な性格の誤差なので②が認められている。
  9. しかし、②では貸借対照表上の正確な数値が見えにくい。そのため、連結貸借対照表上は「退職給付に係る負債」という項目名で計上する。借方には「退職給付に係る調整額」を計上する。これらは「その他の包括利益累計額」項目となる。

資産除去債務

 

・固定資産の中には資産を除去すべき義務を生じさせるものがある。原子力発電設備の解体義務や、鉱山の土地の原状回復など

・これらを資産除去債務という

 

・資産除去債務は引当金処理と、資産負債の両建処理の2通りがある

・引当金処理だと、資産取得時に債務を負っているにもかかわらず、全額計上できない

・そのため、日本では資産負債の両建て処理が採用される

 

  1. 資産除去債務を伴う固定資産を取得した際に、支出額を見積もって負債に計上する
  2. 認識された資産除去債務は同時に帳簿価額に加算して資産計上する。これは取得に関する付随費用とみなすのと同じである
  3. 資産除去債務を償却することで各期に費用が配分される
  4. 資産が実際に除去される時点での残高と実際額の差は除去費用とする

 

偶発債務

偶発債務の意義と取り扱い

 

偶発債務:今のところ債務になっていないが、将来一定の事象によっては債務になるようなものを指す。例えば手形訴求義務、賠償義務など

 

・引当金にできるケースとできないケースがある。可能性や損金などが合理的に見積もれない場合

 

主要な偶発債務

 

手形遡及義務:裏書譲渡した際に債務者が期日に手形金額を弁済できないときに支払う

 

債務の保証:子会社や他企業の債務を保証した場合、保証人となっていれば債務履行責任を負う

 

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