経済学 財務会計

財務会計講義14 外貨建取引等の換算

投稿日:2019年8月12日 更新日:

日本一読まれている財務会計テキスト で有名な

桜井久勝さんの財務会計講義をまとめていきます。

 

スマホで見れるノートとしてご利用ください。

 

今日は第14章 外貨建取引等の換算

 

長かったですが、やっとラストですね。

 

 

 

ここで登場する単語

外貨建取引、換算、外貨建取引等会計処理基準、流動・非流動法、貨幣・非貨幣法、テンポラル法、決算日レート法、エクスポージャー、直物為替相場、先物為替相場、外貨建取引、外貨建金銭債権債務、為替差損益、二取引基準、一取引基準、為替予約、独立処理、振当処理、テンポラル法、決算日レート法、為替換算調整勘定、



外貨建取引等の換算

 

企業活動の国際化と会計問題

 

換算が必要な領域

 

外貨建取引が行われたときに日本円の部分と統合しなくてはならない

・この手続きを換算と呼ぶ

①外国との輸出入取引

②外国支店の決算金額の調整

③連結財務諸表の際の子会社の換算

 

換算の会計問題

 

・換算には説が多く見解の相違も多いため、企業会計審議会では「外貨建取引等会計処理基準」および同「注解」を制定している。

 

換算の諸方法

 

換算方法の種類

 

4種類ある。「流動・非流動法」、「貨幣・非貨幣法」、「テンポラル法」、「決算日レート法」

 


1.流動・非流動法

…流動項目には決算時レート(CR:current rate)を適用し、非流動項目には取得時のレート(HR:historical rate)を利用するもの

 

→棚卸資産にCRを適用すると実現原則(財やサービスが実際に取引されるまで売上計上しない)に反するので日本では採用されていない

 


2.貨幣・非貨幣法

…貨幣性のものはCRで再評価、非貨幣性のものはHRとするもの。

 

→棚卸資産もHRで表示するため日本の処理と合致しているが、棚卸資産のように取得価格ではなく低価基準や減損処理により評価減され、決算日に時価を表す項目がある。これらの項目が決算日に時価を表すならば、CR表示が正しくなる。この点を改善しているのが次のテンポラル法

 


3.テンポラル法

…外貨表示の各項目の金額が取得原価か時価かによって分類し、取得原価のものはHRを、時価のものはCRを適用するというもの。

→基本的には貨幣・非貨幣法を採用している。相違点は外貨による時価が付された非貨幣項目がCRになること。

 


4.決算日レート法

…決算日にすべての項目をCRで換算する。極めて簡便な方法。ただし、連結は相殺の必要性からHRで換算する。

→これまでの3つの方法(複数レート法)では、親会社が自ら実施したかのような処理をした。「本国主義」ともいえる。しかし決算日レート法(単一レート法)では、子会社の取引は完結しており、全体を単一為替レートで見るため、「現地主義」となる。

 

各方法の結果の比較

 

・決算日レートが適用されるために為替相場の変動によって日本円での金額が変化する外貨建て項目をエクスポージャーと呼ぶ

 

日本では以下の換算方法が規定されている

 

換算の領域 換算基準
本店の外貨建取引 貨幣・非貨幣法による
在外支店の財務諸表項目 本店の換算基準を準用し、本店に関して規定のない項目にはテンポラル法を適用する
在外子会社の財務諸表項目 親会社の対応項目と相殺される項目を除き決算日レートを適用する

 

外貨建取引の換算

 

取引時の会計処理

 

直物為替相場:外貨との交換が当日または翌日中に行われる

先物為替相場:将来の時点で交換することを契約する取引に適用する

 

・換算が必要な外貨建取引には以下のものがある

  1. 取引価額が外国通貨で表示されている物品売買または役務授受
  2. 決済金額が外国通貨で表示されている借入または貸付
  3. 券面額が外国通貨で表示されている社債発行
  4. 外国通貨による前渡金・仮払金など

決算時の会計処理

 

・CRは①決算日の直物レートのほか、②決算日の前後の一定期間の平均レート(AR:average rate)を用いることができる。

・なお、外貨建金銭債権債務とは、契約上の債権額または債務額が外国通貨で表示されている金銭債権債務をいう

 

本店の外貨建項目 換算基準
外国通貨 CR
金銭債権債務 CR(自社発行転換社債はHR)
有価証券 売買目的有価証券 外貨での時価×CR
満期保有目的有価証券 償却原価×CR
子会社・関連会社株式 取得原価×HR
その他有価証券 外貨での時価×CR
強制評価減されたもの 外貨での時価または実質価額×CR
デリバティブからの金融商品 外貨での時価×CR

 

為替差損の処理

 

為替差損益には処理に2通りある

二取引基準:輸出入の外貨建取引と、それに伴う売掛・買掛金の決済は別個の処理として扱う
→特徴:為替相場の変動を営業損益と区別することができる

一取引基準:外貨建取引と代金決済を一連の分離不可能な取引とみなす
→特徴:営業損益に混入されてしまう。また日本円確定まで損益が判明しない。

 

為替予約

 

為替予約とは企業が将来に外貨と日本円を交換するレートを前もって契約しておくことをいう。これには買い予約と売り予約がある。デリバティブの一種である。

 

・これには2種類あり

独立処理:外貨建取引と為替予約は別個の処理とみなす

振当処理:為替予約によって確定した日本円を外貨建取引に振り当てる。(この取引はこの予約のものを使おうと取引ごとに振り当てる)

 

日本では、原則は独立処理だが振当処理をしてもよい

 

==SAPメモ==

・SAPは独立処理になっている。また為替予約そのものの管理をするには別途TRMモジュールが必要。

・実際には日本の企業は振当処理が多いイメージ。SAPにはないので追加開発が必要。レートを裏でもってロジ伝票から紐づけたりするので結構大変。

==




 

在外支店の財務諸表項目の計算

 

会計処理基準の規定

 

在外支店の財務諸表項目 換算基準
①通貨、金銭債権債務、有価証券 本店と同じ
②非貨幣性資産 取得原価の棚卸資産および固定資産 HR
取得原価以下のそれ その時のレート
低価基準適用の棚卸資産 CR
③収益費用 一般項目 計上時レート。ARも可能
収益性負債(前受け金など) HR
④決算日レート法の適用…非貨幣性項目の額に重要性がない場合は本支店勘定以外の全項目にCRを適用できる

 

・上記にない項目はテンポラル法になる。

 

在外子会社等の財務諸表項目の計算

 

会計処理基準の規定

 

決算日レート法が用いられる。

・この理由は

①在外支店は個別財務諸表の基準になるので本店と基準を合わせなければならないが、子会社は独立性を有するため

②項目ごとに異なる換算基準は実践的に困難

 

・相殺項目は親会社のレートに合わせないと相殺できないので合わせる。その時に貸借対照表の差額は為替換算調整勘定で調整する

 

在外子会社の財務諸表項目 換算基準
①資産・負債 一般の資産負債 CR
親会社に対するそれ 親会社と合わせる
②株主資本等 親会社による取得 株式取得時のレート
親会社による取得後に生じた項目 当該項目の発生時のレート
③収益・費用 一般の収益費用 ARが原則。CRでも可
親会社との取引 親会社と合わせる

 

 




 

復習問題

 

Q.日本で流動・非流動法が採用されないのはなぜか

→棚卸資産にCRを適用すると実現原則(財やサービスが実際に取引されるまで売上計上しない)に反するので日本では採用されていない

 

Q.貨幣・非貨幣法が日本で合わない理由は何か

→棚卸資産もHRで表示するため日本の処理と合致しているが、棚卸資産のように取得価格ではなく低価基準や減損処理により評価減され、決算日に時価を表す項目がある。これらの項目が決算日に時価を表すならば、CR表示が正しくなる。

 

Q.日本では為替差損益に二取引基準が採用されるのはなぜか

→為替相場の変動を営業損益と区別することができる。また一取引基準だと日本円確定まで売上が確定しないから。

 

Q.海外子会社が本店の基準と違い決算日レート法を使用できる理由は何か

①在外支店は個別財務諸表の基準になるので本店と基準を合わせなければならないが、子会社は独立性を有するため

②項目ごとに異なる換算基準は実践的に困難

 

 

 

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