大学院受験 欧米経済史 経済学

定期試験から大学院受験まで使える 欧米経済史の問題と解答(近代)

投稿日:2019年9月12日 更新日:

工業化

 

問題1 プロト工業化

 

プロト工業化または農村工業について論述しなさい(北海道大学 2017)

 

解答

 

解答略。下に同様の問題あり。

 

問題2 プロト工業

 

次の語句について経済史上の意味を明確にしながら、それぞれ10行程度で説明しなさい。プロト工業化。(大阪大学 2018)

 

解答

 

15・16世紀以降に進んだ農村における工業化の前段階の工業化を指す。メンデルスらによって提唱された。主に痩せた土壌の土地で発生することが多かった。イギリスでは主に繊維産業において、より安価な労働力を求めて周辺農村へ資本を投下し生産することで農村地域へ都市工業が浸透していった。問屋制工業が主流となり発展した。



当時のイギリスでは、土地の相続を長子が受けており、その他の兄弟は労働力として奉仕するのみだった。そのため結婚などは限定されていた。プロト工業化により賃金労働が可能となり結婚できる人口が増加した。またそれにより出生率は向上し人口増加に繋がった。この人口増加に加えて、プロト工業化により誕生した賃金労働者はその後の工業化における労働力として都市に供給され、工業化の労働力となった。
さらにプロト工業化によって農工間分業が成立されたことも主張された。痩せた土壌の地域は、食糧供給を外部から獲得するようになり、商業的農業の発達を刺激した。

ポイント:工業化に先立つ工業化、人口増加、分業

 

問題3 ノーフォーク農法

 

ノーフォーク農法について説明しなさい

 

解答

 

16世紀以降のイギリスで普及した新しい農法。従来の小麦、大麦のほかにカブやクローバーを輪作することで土地生産力が向上した。カブは土地を砕く効果があり、また家畜の飼料として利用することができた。冬でも家畜を飼育できることになり、冬に処分しなくてはいけなかった家畜を維持することができ、食料が増加した。またクローバーを使って放牧することにより土地の回復ができた。
ノーフォーク農法は広大な面積で効率的に実施することで高い効果産むため、農業経営の合理化が必要となった。従来のイギリスでは領主所有地と農民所有地、そして共同地があったが、これらを整理し大土地経営を求めた。そのため、囲い込みを行い、土地の合理化を図った。これにより土地を失った農民の一部は都市労働者へと転換したものもいた。
また、食料生産力が向上したことにより、マルサスの罠と呼ばれる、人口増加の制限を取り払う結果となり人口増加を支えた。この人口増加は、工業化の条件である労働者を維持することとなり、イギリスの経済成長を支えた。
つまり、ノーフォーク農法の採用によって、経営規模の大型化が進み効率的な農業による生産性の上昇をもたらした。その結果農村での必要労働力は減少し、都市への進出・都市の発展が拡大し、経済成長へと繋がった。
字数に余裕があれば、ロバート・アレンによる主張を説明しても良いか。すなわち、貿易拡大により都市工業が発展し非農業人口が増加した。そのため農産物価格が上昇し、合理化のインセンティブが働き農法が改善されたという説。

ポイント:輪作(小麦→カブ→大麦→クローバー)、囲い込みの促進・土地の集約化、農業革命、生産性向上・人口増加を支える

 

問題4 三角貿易

 

次の語句について経済史上の意味を明確にしながら、それぞれ10行程度で説明しなさい。大西洋三角貿易。(大阪大学 2018)

 

解答

 

略。

商業革命につなげて説明ができればよいのでは。

ポイント:商業革命、イギリス・西アフリカ・西インド諸島、資本蓄積

 

問題5 農業革命

 

農業革命について説明せよ

 

解答

 

農業の新技術が生み出されて農業生産量が急激に増加したことによる社会の変化を指す。主に、輪作と囲い込みにより実現され、輪作はノーフォーク農法と呼ばれた。これは小麦と大麦に加えクローバーとカブなどを輪作することで、土地生産性を上げることに成功した。従来の三圃制では小麦と大麦と休閑地であったが、カブとクローバーは飼料とすることができ土地生産性の回復も可能だった。また、これにより冬には処分しなければならなかった家畜の冬越えが可能となったことも食料供給を増加させた。またこれらの農法は広大な農地を必要としたため、エンクロージャーによって土地の集約化が進んだ。また、イギリスでは王権に対する議会の優位が確立しており、私有財産が侵害されないことにより土地改良のインセンティブも働いていた。
農業革命により増加した人口は、都市部への進出・都市の発展を促した。この人口増加は後の賃金労働者として産業革命の成立条件を整えた。
一方で、ロバート・アレンは農業革命と都市の発展の因果関係について異議を唱える意見もある。イギリスでは貿易の増加に伴う都市の発展の結果、食料需要が増加し、それに対応するために農業生産性が向上していったと主張している。

ポイント:輪作と囲い込み、人口増加を支える、労働力需要の低下、議会優位による私有財産権の保護

 

問題6 アメリカ工業化

 

アメリカの工業化について知るところを説明せよ。その際に北東部(ニューイングランド)、南部、中部の地域差についても明示すること

 

解答

 

工業化については下にもあるので割愛。 米英戦争から輸入代替が進み、南北戦争で保護貿易拡大、鉄道による工業化

北部(ニューイングランド植民地)は個人経営が中心。毛皮以外に輸出品が少なく、自給的な農業が営まれていた。
中部は米や小麦が生産された。米はスペインやイタリアに輸出され、小麦は西インド諸島に輸出された。農場は自営農業が多く奴隷依存は少なかった。
南部は大規模なプランテーション経営が行われた。タバコ栽培は独立後も有力な輸出品として存在し続けた。初期(17世紀前半)は年季契約に基づくヨーロッパ移民が中心だった。しかし、ロンドンの人口減少による雇用機会上昇、アメリカの個人所有地に限りがみられるようになり奴隷への依存が高まった。

ポイント:南北の地域さと南北戦争への要因

 

問題7 価格革命

 

価格革命の原因とその影響を説明せよ

 

解答



15世紀から17世紀にかけてヨーロッパで物価の高騰が続いた。この原因は新大陸でポトシ銀山などが発見され銀が大量にヨーロッパに流入したことによる。またそれに先立って、ドイツでの技術革新による銀産出量の増加やアフリカからの金の流入によって貨幣価値が低下したことによる物価の上昇と考えられる。一方で、人口増加によ価格高騰という考え方もある。
この価格革命により、固定地代を収入源としていた領主は実質収入が減少し没落した。また、東欧では西欧の穀物需要に反応して、直営地の拡大と農場における賦役、すなわちグーツヘルシャフトが強化された。

ポイント:新大陸の銀、ドイツの銀産出増、アフリカ金、人口増加、領主の没落、グーツヘルシャフトの強化

 

ウェストファリア条約

 

次の語句について経済史上の意味を明確にしながら、それぞれ10行程度で説明しなさい。ウェストファリア条約。

 

解答

 

1648年三十年戦争の終結として締結された条約。オランダが正式に独立するなど主権国家の並立した。神聖ローマ帝国も解体し領邦ごとに政治的な分裂状態となった。ただし近年では、ウェストファリア条約では神聖ローマ帝国は解体しておらず、なお帝国としてある程度の機能を残したと考えられている。しかし、この政治的分裂状態の影響で、19世紀に入ってもドイツ統合が遅れ、リストが指摘するように国民経済の不在が工業化・経済成長の遅れをもたらした。しかし一方で、この分裂状態が領邦間の競争状態を生み出し、経済成長を進める要因となったという見方もある。
また、ウェストファリア条約の結果、ドイツの中心は以前より東にシフトし、東部ドイツの特徴である農場領主制(グーツヘルシャフト)が強化された。西欧では農奴制の解体が進行していたのとは逆の事態であり、東西の経済構造の地域差は固定的になった。西欧の農産物価格の高騰もあり東欧からの輸出は増加した。

ポイント:ドイツ領邦・オランダなど主権国家の並立、ドイツの中心が東に移る、グーツヘルシャフトが強化

 

参考動画)

 

問題9 オランダ東インド会社

 

次の語句について経済史上の意味を明確にしながら、それぞれ10行程度で説明しなさい。オランダ東インド会社。

 



解答

 

1602年インド・東南アジア貿易のために設立された世界最初の株式会社。アンボイナ事件でイギリスを追い出すとジャワ島のバタヴィアを中心に香料・綿織物・中国陶器などを輸入した。それだけではなく、アジア諸地域間の貿易人にも関与し、長崎出島・マカオ・バタヴィアを結ぶ東シナ海での三角貿易も行った。さらにインドネシアにおけるプランテーション経営も行い安定的な利益をもたらした。これらの貿易を行うコープマンと呼ばれ、国家と結びつき社会の上層を占めた。
オランダは植民地経営や海運・金融がうまくいっていたことで、工業化は遅れ、19世紀後半から始まる。軽工業・重工業ともに。

ポイント:アジア進出を先導、ジャワ島を中心、コープマン、三角貿易

 

問題10 重商主義

 

重商主義政策とは何か。また、各国の重商主義政策についてまとめなさい

 

解答

 

重商主義政策とは一国の貿易差額の黒字の増大をその目標として、そのために国内産業の保護育成と海外市場の獲得を目指す政策。
イギリスでは、毛織物産業保護が優先され、1648年羊毛輸出禁止が制定されるが、有名なのは1700年・1721年のキャラコ輸入禁止である。農業については穀物輸入関税引き上げなどが実施された。1651年には航海法が制定され貿易の促進を図りオランダを排除し、新大陸との貿易が急速に成長する。東インド会社はアジア貿易を主導した。
フランスでは主にコルベールにより重商主義政策が進められた。王立マニュファクチュアの創設、輸出産業の奨励、輸入品の高関税、フランス東インド会社設立などを実施し、輸出振興を進めた。農業国であるフランスでは商工業を促進し農業を犠牲にする政策についてケネーらを中心に批判が大きかった。
ドイツでは領邦重商主義がとられた、ツンフトの力が強く、原則ツンフトを認めたうえで規制緩和を試みた。その結果帝国手工業条例を制定し親方資格の緩和やツンフト自治権が緩和された。

 

問題11 商業革命

 

イギリスの17世紀における貿易構造の変化に(商業革命)ついて、それ以前と比較し、説明せよ

 

解答

 

特徴
①輸出入額が継続的に急激な増加を見せた
②再輸出が増加した
③輸出入ともに新大陸がヨーロッパと同等、あるいはそれ以上になった
④輸出品は多様化した(毛織物工業の地位低下)。輸入品は西欧のワインや亜麻布から砂糖やタバコ、インドからの綿布の割合が増加

影響
これにより資本蓄積が起こり、工業化の資金として投下された

 

参考文献

 

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