大学院受験 欧米経済史 経済学

定期試験から大学院受験まで使える 欧米経済史の問題と解答(産業革命期)

投稿日:2019年9月13日 更新日:

問題5 アメリカの工業化

 

アメリカ工業化について説明せよ



解答

 

[背景]
イギリスの植民地時代にはアメリカの工業化は抑えられた。独立戦争によりイギリスからの独立を果たすが、綿花を輸出し工業品を輸入する状態にあった。海上封鎖令を契機に米英戦争が発生すると、イギリス工業品の輸入代替による工業化が進んだ。また、拡大し続ける西部地域は新しい市場としてアメリカ綿工業の追い風となった。しかし、依然北部の工業は競争力が弱く保護貿易を主張した。一方、南部はイギリスへの輸出に依存していたため自由貿易を主張した。この対立は南北対立の要因となった。南北戦争の結果、北部が勝利し保護貿易が進み工業化が大きく進展する。

[内容]
工業化は綿製品から始まり、ウォルサム型工場の普及などにより機械工業化が進んだ。広大な領土と大量の資源、移民労働力を背景に工業化を進めることとなる。アメリカの工業化の中心となったのは鉄道建設である。鉄道の後方連関効果による工業化の進展への重要度はいずれの国でも大きかったが、アメリカでは特に重要だった。南北戦争時に大陸横断鉄道の建設が決定すると、鉄道建設により鉄鋼・石炭の生産は拡大した。
また、企業の大規模化が必要となり、大量の資金を獲得するために株式会社が採用された。資金はJ.P.モルガンなどの投資銀行を通じてヨーロッパから集められ多額の資金が投下された。こうして大規模化した企業は従来以上にマネジメントが重要となり、集権的職能部門制など新しい経営管理手法が成長した。

 

問題6 南北戦争

 

南北戦争の原因と意義について説明せよ

 

解答

 

[原因]
原因は主に2つあり、第一に、自由貿易と保護貿易の対立である。北部地域では、イギリスからの独立、米英戦争を経て主に綿製品で工業化が進んでいたが、イギリスからの輸入綿製品の競争力が強く保護貿易を主張していた。一方で、南部では綿花プランテーションを経営しイギリスに向けた輸出により巨額の利益を上げていた。そのため、自由貿易を主張していた。この対立は南北対立を引き起こした。
第二に、奴隷制度の対立である。南部のプランテーション経営の労働力は、主にアフリカから輸入される黒人奴隷であった。一方北部では奴隷労働力を必要としておらず、北部の自由州と、南部の奴隷州は対立していた。ミズーリ準州が州に昇格する際に、自由州と奴隷州のバランスが崩れ問題となったが、この時はミズーリ協定により、ミズーリ州よりも北部に奴隷州を作らないことで決定し解決した。しかし、カンザス=ネブラスカ法では、両準州が自由州とするか奴隷州とするかは住民が決定するとしたため、北部地域は大反発し共和党を創設しリンカーンを大統領とした。これに反対した南部7州はアメリカ連合国を設立し南北戦争へと発展した。

[意義・影響]
短期的には人的損失などがあげられる。それ以外に、南部地域が議会に不参加の期間に、北部に有利に進み関税の引き上げが決定した。また、奴隷制の妨げになるとして南部からの反対が強かったものの、西部の自由農民を増やすためにホームステッド法が成立した。加えて、大陸横断鉄道の建設も決定しアメリカの統合へ向かわせた。

 

問題7 産業革命の要因

 

イギリス産業革命の要因は何か

 

解答

 

①人口増加 プロト工業化
②農業革命 ノーフォーク農法・囲い込み
③私的所有権の確立
④豊富な資源へのアクセス 石炭

 

 

正直、この問題はあまり出してほしくない。広すぎる。色んな意見がありすぎる。

横浜国立大学は過去に出題していた。

 

参考動画)それにしてもこの人の動画優秀すぎる。本当におすすめ。

 

 

問題8 大不況

 

1873年大不況の要因は何か

 

解答

 

[原因]
以下による物価と利子率の低下。
①北米やロシアからの農作物の過剰生産と交通革命による輸送コスト低下で安価な穀物が流入した
②各国の工業化が進展し、工業製品の過剰生産が発生した

[内容]
1873年ウィーンで始まった金融恐慌をきっかけにドイツ、イタリアなど多くの市場で暴落が生じ、北米の金融市場にも波及して商品・株式・債券に関して景気が反転した。これは1896年まで続く。
また各地で農産物価格が下落し、凶作でも価格が戻らないなど農業部門に大きな打撃を与えた。



[結果]
各国で保護貿易主義とカルテルが進展した。ドイツでは「穀物と鉄の同盟」と呼ばれる関税政策がとられた。フランスでは1870年~71年の普仏戦争の復興景気により大不況の発現が遅れたが、1880年代に深刻化すると、農業生産物関税が引き上げられ、工業製品も合流し、メリーヌ関税法が成立した。
一方で大不況に関しては従来の定説を覆し経済成長にあったという主張もある。マディソンの集計によれば欧米各国の経済成長はほぼ継続に続いていた。
悲観的に受け取られている理由は、①当時の景気の指標が物価に限られていたこと。②当時政治的発言力が高かった、農業セクターに経済的打撃だ大きかったこと、③工業セクターでも旧工業から新工業へ利潤の伸びががシフトしたこと。

 

問題9 ロストウ

 

ロストウの発展段階説とリストの発展段階説をそれぞれ説明しなさい

 

解答

 

ロストウ:伝統的社会 → 離陸への先行条件 → 離陸 → 成熟社会への前進 → 高度大衆消費時代

リスト:野蛮状態 → 牧畜状態 → 農業状態 → 農工状態 → 農工商状態

 

問題10 第二次産業革命

 

次の語句について経済史上の意味を明確にしながら、それぞれ10行程度で説明しなさい。第二次産業革命。(大阪大学 2018)

 

解答

 

明確な時期区分はないが19世紀後半頃から第一次世界大戦にかけて展開した工業化を指す。第一次産業革命と大きく異なる点として、第一次産業革命では職人による試行錯誤による発明が中心となっていたが、科学的知識を裏付けに技術が発展し、技術革新が科学の発展にフィードバックするという構図が生まれ、産業の成長の背景に科学技術があった。これらの技術革新を支えるための専門学校や多数の会技術教育機関が設立され専門家を排出し活躍した。
まずベッセマーにより転炉による鋼の生産が改良され大量生産が可能になると、トマス法などによりヨーロッパ大陸で産出される石炭からでも鋼の生産が可能となり鉄道のレールなどに応用された。ハーバー=ボッシュ法やソルベー法によりアンモニア合成を成功など化学産業が誕生した。これは人口肥料やガラス、ダイナマイトなどが発明された。内燃機関も成長し、フランスで自動車の実用化が成功する。これは後に石油へのエネルギー転換へと繋がり飛行機などの開発へと繋がった。電気関連産業も成長し、電灯などが発明された。
第二次産業革命はドイツ・アメリカでの拡大が著しかった。イギリスは新産業への転換、また旧産業の新技術の導入、技術教育の遅れなどから相対的に優位を失うこととなった。

 

問題11 交通革命

 

交通革命・輸送革命の内容とその影響を説明せよ

 

解答

 

[背景]
蒸気機関発達による、鉄道と蒸気船の実用化

[内容]
19世紀前半にイギリスで実用化された鉄道はその後ヨーロッパ各地、アメリカ、日本など世界中に開発された。アメリカの大陸横断鉄道やシベリア鉄道は規模も大きかった。これらは人々の行動範囲を拡大するだけでなく、安価な商品輸送を実現した。
同じく蒸気船も、19世紀に改良が進んだ。スクリューの開発により蒸気船は普及し、またスエズ運河も蒸気船普及に貢献した。これはスエズ運河によりヨーロッパ・アジア間の航路が短縮されたが、スエズ運河の運行は帆船は適しておらず蒸気船が採用された。

[影響]
第一に商品価格の価格差の縮小をもたらした。巨大な世界市場が構築されたことにより各国が商品経済に巻き込まれ中心となるロンドン価格を基準に価格の収斂が起こった。これに電信の発達などもあり、金融市場も世界的に結びついた。
第二に実質賃金・所得の収斂をもたらした。商品価格差の縮小によると考えられる。また、移民の世界的な移動も起きた。
第三に国際分業を進展した。各国で工業化が進んだことにより世界的に一次産品の工業産品に対する相対価格を押し上げた。これはモノカルチュア化をより進めることとなった。

ポイント:鉄道と蒸気船の発達、商品価格差の縮小、実質賃金の収斂、国際分業の進展

 

問題12 ジェントルマン資本主義

 

[背景]
イギリスは産業革命の結果安価に生産できるようになった工業製品の輸出と、そのための安価な原材料・食料品のために、産業資本家層が自由貿易を推し進めてきたという見方が一般的。

[内容]
しかし、イギリスでは地主貴族やロンドンのシティの金融・サービス部門に従事するエリート層などによって構成されるジェントルマン資本家の影響力の方が強く、むしろ産業資本家の影響力は限定的だったと主張する。そのため、自由貿易はシティの主張によって推し進められたというもの。イギリスでは工業製品輸出だけでなく、金融・保険・海運からも莫大な利益をあげており、そのために自由貿易が推進されたというもの。また、それを裏付けるものとして、1870年以降各国のキャッチ・アップがあったが、第一次世界大戦勃発まで自由貿易政策を維持したことがあげられる。

[影響]
このジェントルマン的価値観のもとでは、金融界などが優先されるため技術教育等は遅れた。そのためキャッチアップが起こってしまったとされる。

 

参考文献

 

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